【宅建士対策】賃貸の仲介手数料が家賃1.1ヶ月分の理由とその誤解

目次

はじめに

本稿では,法律および不動産については門外漢である管理人が,宅地建物取引士資格試験に最速最短で合格するための知識を整理してまとめていきます。

管理人は法学の素人であるため,ロジックの正確性・正当性は無視します。また,暗記を最小限に抑えるため「以上・以下」「未満・より」といった端点の場合分けは無視します。

報酬額

一般消費者が不動産屋さんに訪れて住居を賃貸する場面を考えます。報酬額とは,賃貸契約において一般消費者と大家さんが不動産屋さんに支払う仲介手数料のことを指します。もう少し正確に言えば,報酬額とは宅建取引の賃貸借媒介で貸主と借主が宅建業者に支払うお金のことを指します。宅建業者とは不動産屋さんのことです。宅建業法では一般消費者を守るために,宅建業者が受け取れる報酬額に上限を設けています。

賃貸借における報酬額の上限

宅建業の取引は(自ら,媒介,代理)(売買,交換,賃貸借)の直積(全ての組み合わせ)から「自ら賃貸借」を除いた8種類に分けられますが,それぞれに対して報酬額の上限が定められています。媒介と代理は同じロジックで定められているのですが,賃貸借は別に定められています。本稿では媒介と代理の場合は割愛し,賃貸借の報酬上限額に着目しましょう。宅建業者が貸主と借主の双方から受け取れる報酬額は合計で賃貸額1ヶ月分と定められています。賃貸額は家賃と捉えればよいでしょう。

取引の種類にかかわらず,業者が課税業者の場合は「素朴な」報酬限度額に消費税分を上乗せすることができますので,結果として賃貸借取引において課税業者が貸主と借主の双方から受け取れる報酬額の上限は賃貸額1.1ヶ月分となります。ここまでが通常の説明です。

税込/税抜きという言葉を使ってしまうと混乱を招きかねないため,税抜きであることを「素朴な」と表現することにします。

よくある誤解

宅建業法の勉強をしていると「住居用建物の賃貸借には消費税は課税されない」ということを学びます。思考停止でこのルールを報酬額の上限に適用すると,一般消費者と大家さんが賃貸契約する際に不動産屋さんに支払う仲介手数料には消費税は課税されないはずですので,報酬額の上限は賃貸額の1.1ヶ月分ではなく1ヶ月分となってしまいます。

しかし,この考えには大きな誤解があります。消費税が課されないのは賃貸借の取引ですので,対象は賃貸額であって報酬額ではないのです。一般消費者と大家さんの間の取引が課税されるのであって,一般消費者と上の説明で報酬額を1.1倍しているのは課税業者だからであり,「住居用建物の賃貸借には消費税は課税されない」のルールとは全くの別物です。

例として家賃10万円の居住用賃貸借取引を考えます。消費税は家賃に含まれていませんので,素朴な賃貸額が10万円となります。ゆえに宅建業者が貸主と借主の双方から受け取れる報酬額は合計で10万円となります。ただし,業者が課税業者である場合はこの報酬額10万円自体に消費税がかけられるので,結果として課税業者が受け取れる報酬額上限は11万円となるのです。

一方,家賃11万円の「非」居住用賃貸借取引を考えます。消費税が家賃に含まれていますので消費税分を家賃から控除すると,素朴な賃貸額が10万円となります。あとは居住用賃貸借取引と同様に報酬の上限額は11万円となります。

仮に業者が免税業者の場合は4%分を上乗せできるルールであるため,報酬額の上限は10.4万円となります。

考察

上の誤解で間違えているのは「一般消費者と大家さんが賃貸契約する際に不動産屋さんに支払う仲介手数料には消費税は課税されないはず」の部分です。家賃1ヶ月分が1.1ヶ月分に化けるのは,不動産屋さんが課税業者だからです。「住居用建物の賃貸借には消費税は課税されない」のルールが適用されている訳ではありません。

シェアはこちらからお願いします!

コメント

コメントする

※ Please enter your comments in Japanese to distinguish from spam.

目次