【数検1級対策】固有値に関する便利なテクニック

本記事では,数学検定1級で頻出のトピックについてまとめていきます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

固有値に関する便利なテクニック

$A$の固有値を$\lambda_{1},\ldots,\lambda_{n}$とするとき,固有値の和は次で表される

\begin{align}
\lambda_{1} + \lambda_{2} + \cdots + \lambda_{n} &= \Tr(A)
\end{align}

$A$の固有値を$\lambda_{1},\ldots,\lambda_{n}$とするとき,固有値の積は次で表される

\begin{align}
\lambda_{1}\lambda_{2}\cdots\lambda_{n} &= \det(A)
\end{align}

固有値の対称式に関する問題のアプローチ

固有多項式の解と係数の関係を利用する

補足

固有値の和に関するテクニックの証明

$A$のジョルダン標準形を$J$を用いて示すことができます。任意の正方行列は正則行列$P$により$P^{-1}AP{=}J$とできますが,$J$の対角成分には固有値が並ぶこと,およびトレースの性質$\Tr(ABC){=}\Tr(BCA)$に注意すると,

\begin{align}
\Tr(J) = \Tr(P^{-1}AP) = \Tr(APP^{-1}) = \Tr(A) = \lambda_{1} + \cdots + \lambda_{n}
\end{align}

が導かれます。

固有値の積に関するテクニックの証明

固有多項式

\begin{align}
\det(xI_{n}-A) &= (x-\lambda_{1})\cdots(x-\lambda_{n})
\end{align}

において,$x=0$を代入して導かれます。

固有値の対称式に関するアプローチについて

解と係数の関係の利用については,例えば固有多項式が$\lambda^{3}+\lambda+24$であるとき,

\begin{align}
\lambda_{1}+\lambda_{2}+\lambda_{3} = 0,\quad
\lambda_{1}\lambda_{2}+\lambda_{2}\lambda_{3}+\lambda_{3}\lambda_{1} = 1,\quad
\lambda_{1}\lambda_{2}\lambda_{3} = -24
\end{align}

が利用できます。

特に$\lambda_{1}\lambda_{2}+\lambda_{2}\lambda_{3}+\lambda_{3}\lambda_{1}$が必要な場合に重宝します。

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