【数検1級対策】実ベクトル空間の部分空間

本記事では,数学検定1級で頻出のトピックについてまとめていきます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

実ベクトル空間の部分空間

$\mR$上のベクトル空間$V$の空でない部分集合$W$が

\begin{align}
\va,\vb\in W,~k,l\in\mR ~\Rarr~ k\va + l\vb \in W
\end{align}

を満たすとき,$W$を$V$の部分空間という。ただし,$W$は必ず$\vzero$を含む。

$\vzero$が属さない集合は$V$の部分空間とはなりません。

具体例

下記で定義される$W$が実ベクトル空間$V$の部分空間であるか示しなさい。

  1. $W = \left\{(x, y)^{T}|x\geq y\right\}$
  2. $W = \left\{(x, y)^{T}|3x=5y\right\}$
  3. $W = \left\{(x, y, z)^{T}|x+z=2y\right\}$
  4. $W = \left\{(x, y, z)^{T}|x+y+z=1\right\}$

解答

例1

  • $W = \left\{(x, y)^{T}|x\geq y\right\}$

$\va=(0,1)$とおくと,$(-1)\cdot \va=(0, -1)\notin W$となるため,$W$は$V$の部分空間ではありません。

例2

  • $W = \left\{(x, y)^{T}|3x=5y\right\}$

$\va=(x_{1},y_{1})\in W$,$\vb=(x_{2},y_{2})\in W$とおくと,$W$の定義より

\begin{align}
3x_{1} = 5y_{1},\quad 3x_{2} = 5y_{2}
\end{align}

となります。ここで$k\va + l\vb = (kx_{1}+lx_{2}, ky_{1}+ly_{2})$において,

\begin{align}
3(kx_{1}+lx_{2})
&= k\cdot 3x_{1}+l\cdot 3x_{2}
= k\cdot 5y_{1}+l\cdot 5y_{2}
= 5(ky_{1}+ly_{2})
\end{align}

より,$k\va + l\vb\in W$となります。よって,$W$は$V$の部分空間です。

例3

  • $W = \left\{(x, y, z)^{T}|x+z=2y\right\}$

$\va=(x_{1},y_{1},z_{1})\in W$,$\vb=(x_{2},y_{2},z_{2})\in W$とおくと,$W$の定義より

\begin{align}
x_{1} + z_{1} = 2y_{1},\quad x_{2} + z_{2} = 2y_{2}
\end{align}

となります。ここで$k\va + l\vb = (kx_{1}+lx_{2}, ky_{1}+ly_{2}, kz_{1}+lz_{2})$において,

\begin{align}
(kx_{1}{+}lx_{2}) {+} (kz_{1}{+}lz_{2})
&= k(x_{1}{+}z_{1}) {+} l(x_{2}{+}z_{2})
= k(2y_{1}) {+} l(2y_{2})
= 2(ky_{1}{+}ly_{2})
\end{align}

より,$k\va + l\vb\in W$となります。よって,$W$は$V$の部分空間です。

例4

  • $W = \left\{(x, y, z)^{T}|x+y+z=1\right\}$

$(0,0,0)\notin W$より,$W$は$V$の部分空間ではありません。

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