本記事では,数学検定1級で頻出のトピックについてまとめていきます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
n乗根とド・モアブルの定理
複素数$\alpha$の$n$乗根は$z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$とおいてド・モアブルの定理を適用することにより導出することができる。
具体例を通して理解しましょう。
具体例
$-2+2\sqrt{3}i$の$4$乗根を求めよ。
解答
$-2+2\sqrt{3}i$のノルムは$\sqrt{2^{2}+(2\sqrt{3})^{2}}=4$であり,偏角は$2\pi/3$となるため,
-2+2\sqrt{3}i &= 4\left\{\cos\left(\frac{2\pi}{3}\right)+i\sin\left(\frac{2\pi}{3}\right)\right\}
\end{align}
と表されます。一方,$z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$とおくと,ド・モアブルの定理より
z^{4} &= r^{4}(\cos4\theta+i\sin4\theta)
\end{align}
と表されます。ただし,$0\leq\theta<2\pi$とします。これらより,
r = \sqrt[4]{4} = \sqrt{2},\quad
\theta = \frac{1}{4}\left(\frac{2\pi}{3}+2n\pi\right) = \frac{\pi}{6}+\frac{n\pi}{2}
\end{align}
を得ます。したがって,$\theta=\pi/6$を$1$つの頂点とする正方形であり,求める答えは
\begin{cases}
\displaystyle
z_{0} = \sqrt{2}\left(\cos\frac{\pi}{6}+i\sin\frac{\pi}{6}\right) = \frac{\sqrt{6}}{2}+\frac{\sqrt{2}}{2}i\\[0.7em]
\displaystyle
z_{2} = \sqrt{2}\left(\cos\frac{2\pi}{3}+i\sin\frac{2\pi}{3}\right) = -\frac{\sqrt{2}}{2}+\frac{\sqrt{6}}{2}i\\[0.7em]
\displaystyle
z_{3} = \sqrt{2}\left(\cos\frac{7\pi}{6}+i\sin\frac{7\pi}{6}\right) = -\frac{\sqrt{6}}{2}-\frac{\sqrt{2}}{2}i\\[0.7em]
\displaystyle
z_{4} = \sqrt{2}\left(\cos\frac{5\pi}{3}+i\sin\frac{5\pi}{3}\right) = \frac{\sqrt{2}}{2}-\frac{\sqrt{6}}{2}i\\[0.7em]
\end{cases}
となります。
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