本記事では,数学検定1級で頻出のトピックについてまとめていきます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
複素数列の無限級数
与えられた$a+bi$を$z$とおいて無限級数の公式を利用すればよい。
本質的には実数列の無限級数と同じ操作を行います。
具体例
$r>1$のとき,次の無限球数を求めよ。
\begin{align}
\sum_{k=0}^{\infty}\left(\frac{\cos x+i\sin x}{r}\right)^{k}
\end{align}
\sum_{k=0}^{\infty}\left(\frac{\cos x+i\sin x}{r}\right)^{k}
\end{align}
解答
$z=(\cos x+i\sin x)/r$とおくと求める無限級数は$S_{n}=\sum_{k=0}^{n-1}z^{k}$となるため,
\begin{align}
\lim_{n\rarr\infty}S_{n} &= \frac{1}{1-z}
= \frac{r}{(r-\cos x)-i\sin x}\\[0.7em]
&= \frac{r\{(r-\cos x)+i\sin x\}}{\{(r-\cos x)-i\sin x\}\{(r-\cos x)+i\sin x\}}\\[0.7em]
&= \frac{r(r-\cos x)+ir\sin x}{r^{2}-2r\cos x+1}\\[0.7em]
&= \frac{r(r-\cos x)}{r^{2}-2r\cos x+1}+i\frac{r\sin x}{r^{2}-2r\cos x+1}\label{解答}
\end{align}
\lim_{n\rarr\infty}S_{n} &= \frac{1}{1-z}
= \frac{r}{(r-\cos x)-i\sin x}\\[0.7em]
&= \frac{r\{(r-\cos x)+i\sin x\}}{\{(r-\cos x)-i\sin x\}\{(r-\cos x)+i\sin x\}}\\[0.7em]
&= \frac{r(r-\cos x)+ir\sin x}{r^{2}-2r\cos x+1}\\[0.7em]
&= \frac{r(r-\cos x)}{r^{2}-2r\cos x+1}+i\frac{r\sin x}{r^{2}-2r\cos x+1}\label{解答}
\end{align}
が得られます。
補足
仮に
\begin{align}
\sum_{k=0}^{\infty}\left(\frac{\cos x}{r}\right)^{k}
\end{align}
\sum_{k=0}^{\infty}\left(\frac{\cos x}{r}\right)^{k}
\end{align}
を求める場合は,マクローリン展開を用いてもよいですが,ド・モアブルの公式より
\begin{align}
(\cos x+i\sin x)^{k} &= \cos(kx)+i\sin(kx)
\end{align}
(\cos x+i\sin x)^{k} &= \cos(kx)+i\sin(kx)
\end{align}
となるため,式($\ref{解答}$)の実部が解答になります。同様に,
\begin{align}
\sum_{k=0}^{\infty}\left(\frac{\sin x}{r}\right)^{k}
\end{align}
\sum_{k=0}^{\infty}\left(\frac{\sin x}{r}\right)^{k}
\end{align}
を求める場合は,マクローリン展開を用いてもよいですが,式($\ref{解答}$)の虚部が解答になります。
コメント
コメント一覧 (2件)
(2)の式でisinxの符号が間違っていると思います。
HN様
ご指摘ありがとうございます。本文修正しました。