【数検1級対策】直線・平面・球の方程式

本記事では,数学検定1級で頻出の連立一次合同式の解法についてまとめていきます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

直線と平面の方程式

点$(x_{1}, y_{1}, z_{1})$を通り$(a, b, c)$に並行な直線は

\begin{align}
\frac{x-x_{1}}{a}
= \frac{y-y_{1}}{b}
= \frac{z-z_{1}}{c}
\end{align}

で表される。ただし,分母が$0$のときは分子も$0$と考える。点$(x_{1}, y_{1}, z_{1})$を通り$(a, b, c)$に垂直な平面は

\begin{align}
a(x-x_{1}) + b(y-y_{1}) + c(z-z_{1}) &= 0
\end{align}

と表される。点$(x_{1}, y_{1}, z_{1})$を中心とする半径$r$の球面は

\begin{align}
(x-x_{1})^{2}+(y-y_{1})^{2}+(z-z_{1})^{2} &= 0
\end{align}

と表される。平面$ax+by+cz+d$と平面上にない点$(x_{1}, y_{1}, z_{1})$の距離は

\begin{align}
\frac{|ax_{1}+by_{1}+cz_{1}+d|}{\sqrt{a^{2}+b^{2}+c^{2}}}
\end{align}

で求められる。

直線の方程式は方向ベクトル,平面の方程式は法線ベクトルであることに注意してください。

具体例

A. 直線に関する問題

  1. 点$(2,1,3)$を通り,$2$直線$x/3{=}y/(-1){=}z/7$,$x{=}y/(-1){=}z/5$に垂直な直線の方程式を求めよ
  2. $2$直線$(x{+}3)/4{=}(y{-}5)/({-}2)=z{+}1/({-}1)$,$(x{+}3)/2{=}y{-}1{=}z/({-}1)$の交点を求めよ

B. 平面に関する問題

  1. $3$点$A(3,3,2)$,$B(0,2,2)$,$C(2,0,3)$を通る平面の方程式を求めよ
  2. $2$平面$2x{-}y{-}z{-}1{=}0$,$x{-}2y{+}3z{=}0$の交線を含んで,平面$3x{+}y{+}2z{-}6{=}0$に垂直な平面の方程式を求めよ

C. 直線と平面に関する問題

$2$つの直線$x{=}y{=}z$,$(x{-}1)/2{=}(y{-}2)/({-}2){=}z{-}3$があり,それぞれ$l_{1},l_{2}$とする。

  1. $l_{1}$を含み,$l_{2}$に並行な平面$\pi_{1}$の方程式を求めよ
  2. $l_{2}$を含み,$\pi_{1}$に垂直な平面$\pi_{2}$の方程式を求めよ
  3. 平面$\pi_{2}$と直線$l_{1}$の交点$P$の座標を求めよ
  4. 点$P$と直線$l_{2}$の距離を求めよ

D. 球面と平面に関する問題

  1. 半径$2$の球面と平面$x{+}y{+}z{=}3$との交わりが中心$(0,1,2)$,半径$1$の円であるとき,球面の方程式を求めよ
  2. 直線$x{=}y{=}2z-3/2$が球面$x^{2}{+}y^{2}{+}z^{2}{=}r^{2}~(r>0)$で切り取られる線分の長さが$2$となるとき,$r$の値を求めよ

解答

A-1

点$(2,1,3)$を通り,$2$直線$x/3{=}y/(-1){=}z/7$,$x{=}y/(-1){=}z/5$に垂直な直線の方程式を求めよ

法線ベクトルの外積と直線の方程式の定義を利用します。$2$直線の法線ベクトルの外積は

\begin{align}
\left(
\begin{vmatrix}
-1 & 7\\
-1 & 5
\end{vmatrix},
\begin{vmatrix}
7 & 3\\
5 & 1
\end{vmatrix},
\begin{vmatrix}
3 & -1\\
1 & -1
\end{vmatrix}
\right)
&= (2,-8,-2) \propto (1,-4,-1)
\end{align}

となるため,求める直線の方程式は

\begin{align}
x-2 = \frac{y-1}{-4} = \frac{z-3}{-1}
\end{align}

となります。

A-2

$2$直線$(x{+}3)/4{=}(y{-}5)/({-}2)=z{+}1/({-}1)$,$(x{+}3)/2{=}y{-}1{=}z/({-}1)$の交点を求めよ

媒介変数表示を利用します。

\begin{cases}
\displaystyle
\frac{x+3}{4} = \frac{y-5}{-2} = \frac{z+1}{-1} = s\\[0.7em]
\displaystyle
\frac{x+3}{2} = \frac{y-1}{1} = \frac{z}{-1} = t
\end{cases}

とおくと,それぞれの直線の媒介変数表示が等しいことから

\begin{align}
(4s-3,-2s+5,-s-1) = (2t-3,t+1,-t)
\end{align}

が成り立ちます。これを解くと$(s,t)=(1,2)$が得られるため,$(x,y,z){=}(1,3,-2)$となります。

B-1

$3$点$A(3,3,2)$,$B(0,2,2)$,$C(2,0,3)$を通る平面の方程式を求めよ

$2$直線の外積を法線ベクトルとし,適当な点を通る平面を求めればよいです。$\overrightarrow{AB}=(-3,-1,0)$と$\overrightarrow{AC}=(-1,-3,1)$の外積は

\begin{align}
\left(
\begin{vmatrix}
-1 & 0\\
-3 & 1
\end{vmatrix},
\begin{vmatrix}
0 & -3\\
1 & -1
\end{vmatrix},
\begin{vmatrix}
-3 & -1\\
-1 & -3
\end{vmatrix}
\right)
&= (-1,3,8) \propto (1,-3,-8)
\end{align}

となるため,代表点を$A$とすれば,求める平面の方程式は

\begin{align}
(x-3) - 3(y-3) - 8(z-2) &= 0
\end{align}

となります。

B-2

$2$平面$2x{-}y{-}z{-}1{=}0$,$x{-}2y{+}3z{=}0$の交線を含んで,平面$3x{+}y{+}2z{-}6{=}0$に垂直な平面の方程式を求めよ

平面の交線を含む平面の全体を表す平面束の問題は,$0$でない実数のパラメータとして$\mu$と$\lambda$を用いる点がポイントです。実際,$2$平面の交線を含む平面は

\begin{align}
\lambda(2x-y-z-1)+\mu(x-2y+3z)&=0
\end{align}

と表され,これを整理すると

\begin{align}
(2\lambda+\mu)x+(-\lambda-2\mu)y+(-\lambda+3\mu)z -\lambda &= 0\label{B-2}
\end{align}

となりますが,式($\ref{B-2}$)の法線ベクトルが$(3,1,2)$と垂直になるため,

\begin{align}
3(2\lambda+\mu)+(-\lambda-2\mu)+2(-\lambda+3\mu) &= 0
\end{align}

が得られます。これを整理すると$\lambda=-7\mu/3$となるため,式($\ref{B-2}$)に代入すると

\begin{align}
-\frac{11}{3}\mu x+\frac{1}{3}\mu y + \frac{16}{3}\mu z + \frac{7}{3}\mu &= 0
\end{align}

となります。$\mu\neq 0$より,求める平面の方程式は

\begin{align}
11x-y-16z-7 &= 0
\end{align}

となります。

C-1

$2$つの直線$x{=}y{=}z$,$(x{-}1)/2{=}(y{-}2)/({-}2){=}z{-}3$があり,それぞれ$l_{1},l_{2}$とする。$l_{1}$を含み,$l_{2}$に並行な平面$\pi_{1}$の方程式を求めよ

$l_{1}$を含むため,$\pi_{1}$の法線ベクトルは$l_{1}$の方向ベクトル$(1,1,1)$と直交します。同様に,$l_{2}$に平行であるため,$\pi_{1}$の法線ベクトルは$l_{2}$の方向ベクトル$(2,-2,1)$と直交します。したがって,$\pi_{1}$の法線ベクトルは

\begin{align}
\left(
\begin{vmatrix}
1 & 1\\
-2 & 1
\end{vmatrix},
\begin{vmatrix}
1 & 1\\
1 & 2
\end{vmatrix},
\begin{vmatrix}
1 & 1\\
2 & -2
\end{vmatrix}
\right)
&= (3,1,-4)
\end{align}

となり,$\pi_{1}$は$l_{1}$上の点$(0,0,0)$を通るため,

\begin{align}
3x + y - 4z &= 0
\end{align}

と表されます。

C-2

$l_{2}$を含み,$\pi_{1}$に垂直な平面$\pi_{2}$の方程式を求めよ

$l_{2}$を含むため,$\pi_{2}$の法線ベクトルは$l_{2}$の方向ベクトル$(2,-2,1)$と直交します。同様に,$\pi_{1}$に垂直であるため,$\pi_{2}$の法線ベクトルは$\pi_{1}$の法線ベクトル$(3,1,-4)$と直交します。したがって,$\pi_{3}$の法線ベクトルは

\begin{align}
\left(
\begin{vmatrix}
-2 & 1\\
1 & -4
\end{vmatrix},
\begin{vmatrix}
1 & 2\\
-4 & 3
\end{vmatrix},
\begin{vmatrix}
2 & -2\\
3 & 1
\end{vmatrix}
\right)
&= (7, 11, 8)
\end{align}

となり,$\pi_{2}$は$l_{2}$上の点$(1,2,3)$を通るため,

\begin{align}
7(x-1) + 11(y-2) + 8(z-3) &= 0
\end{align}

と表されます。

C-3

平面$\pi_{2}$と直線$l_{1}$の交点$P$の座標を求めよ

$l_{1}$上の点は$(t, t, t)$と表されるため,平面$\pi_{2}$の方程式に代入すると$t=53/26$が得られます。したがって,交点は

\begin{align}
\left(\frac{53}{26}, \frac{53}{26}, \frac{53}{26}\right)
\end{align}

となります。

C-4

点$P$と直線$l_{2}$の距離を求めよ

点$P$は複雑な値であるため,直線$l_{2}$と点$P$を結ぶ線分を平行移動して考えます。平面$\pi_{2}$は直線$l_{2}$を含み,点$P$は平面$\pi_{1}$上に存在するため,直線$l_{2}$と点$P$を結ぶ線分の長さは$l_{2}$上の任意の点から平面$\pi_{1}$の距離と等しくなります。したがって,$l_{2}$上の点として$(1, 2, 3)$を選べば,求める答えは

\begin{align}
\frac{|3\cdot 1 + 1\cdot 2 + (-4)\cdot 3|}{\sqrt{3^{2}+1^{2}+(-4)^{2}}}
&= \frac{7}{\sqrt{26}} = \frac{7\sqrt{26}}{26}
\end{align}

となります。

D-1

半径$2$の球面と平面$x{+}y{+}z{=}3$との交わりが中心$T(0,1,2)$,半径$1$の円であるとき,球面の方程式を求めよ

球面の中心を$C(x_{0}, y_{0}, z_{0})$とおくと,平面と線分$CT$は直交するため,平面の法線ベクトルと線分$CT$の方向ベクトルは平行になることを利用すると,

\begin{align}
(x_{0}, y_{0}-1, z_{0}-2) &= k(1, 1, 1)
\end{align}

と表されます。一方,三平方の定理より線分$CT$の長さは$\sqrt{3}$となるため,球面の中心$C$から平面への距離を利用することにより,

\begin{align}
\frac{|1\cdot x_{0}+1\cdot (y_{0}{-}1)+1\cdot (z_{0}{-}2){-}3|}{\sqrt{1^{2}+1^{2}+1^{2}}}
&= \frac{|k{+}(k{+}1){+}(k{+}2){-}3|}{\sqrt{3}} = \frac{|3k|}{\sqrt{3}} = \sqrt{3}
\end{align}

これを解くことにより$k=\pm 1$が得られるため,求める答えは

\begin{cases}
(x-1)^{2}+(y-2)^{2}+(z-3)^{2} = 4\\[0.7em]
(x+1)^{2}+y^{2}+(z-1)^{2} = 4
\end{cases}

となります。

D-2

直線$x{=}y{=}2z{-}3/2$が球面$x^{2}{+}y^{2}{+}z^{2}{=}r^{2}~(r{>}0)$で切り取られる線分の長さが$2$となるとき,$r$の値を求めよ

直線と球面の交点を$A,B$,線分$AB$の中点を$P$とおきます。点$P$は直線上の点であるため,

\begin{align}
\left(t, t, \frac{t}{2}+\frac{3}{4}\right)
\end{align}

と表されます。球面の中心は原点$O$であるため,線分$OP$が直線と直交することから,$t$は

\begin{align}
1\cdot t + 1\cdot t + \frac{1}{2}\cdot\left(\frac{t}{2}+\frac{3}{4}\right) &= 0
\end{align}

を満たします。これを解くと$t=-1/6$となるため,点$P$の座標は$(-1/6,-1/6,2/3)$となります。$\triangle OPA$で三平方の定理を用いることにより,

\begin{align}
r^{2} &= 1^{2} + OP^{2} = 1 + 2\cdot \left(-\frac{1}{6}\right)^{2}+\left(\frac{2}{3}\right)^{2}
= \frac{3}{2}
\end{align}

が得られるため,$r=\sqrt{6}/2$となります。

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