【数検1級対策】特別な行列の行列式

本記事では,数学検定1級で頻出のトピックについてまとめていきます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

特別な行列の行列式

ヴァンデルモンドの行列式

\begin{align}
\begin{vmatrix}
1 & x_{1} & x_{1}^{2} & \cdots & x_{1}^{n-1}\\
1 & x_{2} & x_{2}^{2} & \cdots & x_{2}^{n-1}\\
\vdots & \vdots & \vdots & \vdots & \vdots\\
1 & x_{n} & x_{n}^{2} & \cdots & x_{n}^{n-1}\\
\end{vmatrix}
&= \prod_{i<j}(x_{j}-x_{i})
\end{align}

$(i,i)$成分が$x_{i}^{2}+1$,それ以外の$(i,j)$成分が$x_{i}x_{j}$である$n\times n$行列の行列式

\begin{align}
\begin{vmatrix}
a^{2}+1 & ab & ac & ad\\
ba & b^{2}+1 & bc & bd\\
ca & cb & c^{2}+1 & cd\\
da & db & dc & d^{2}+1
\end{vmatrix}
&= a^{2} + b^{2} + c^{2} + d^{2} + 1
\end{align}

$(i,i)$成分が$x_{i}+1$,それ以外の$(i,j)$成分が$1$である$n\times n$行列の行列式

\begin{align}
\begin{vmatrix}
x_{1}+1 \!\!\!& 1 \!\!\!& \cdots \!\!\!& 1\\
1 \!\!\!& x_{2}+1 \!\!\!& \cdots & 1\\
\vdots \!\!\!& \vdots \!\!\!& \ddots \!\!\!& \vdots\\
1 & 1 \!\!\!& \cdots \!\!\!& x_{n} + 1
\end{vmatrix}
&= x_{1}x_{2}\cdots x_{n}\left(1+\frac{1}{x_{1}}+\cdots+\frac{1}{x_{n}}\right)
\end{align}

解説

ヴァンデルモンドの行列式の求め方

証明は割愛しますが,

\begin{align}
\begin{vmatrix}
1 & x_{1} & x_{1}^{2} & \cdots & x_{1}^{n-1}\\
1 & x_{2} & x_{2}^{2} & \cdots & x_{2}^{n-1}\\
\vdots & \vdots & \vdots & \vdots & \vdots\\
1 & x_{n} & x_{n}^{2} & \cdots & x_{n}^{n-1}\\
\end{vmatrix}
&= \prod_{i<j}(x_{j}-x_{i})
\end{align}

を利用すると,例えば

\begin{align}
\begin{vmatrix}
1 & a & b^{2} + c^{2}\\
1 & b & c^{2} + a^{2}\\
1 & c & a^{2} + b^{2}
\end{vmatrix}
&=
\begin{vmatrix}
1 & a & -a^{2}\\
1 & b & -b^{2}\\
1 & c & -c^{2}
\end{vmatrix}
= (-1)\cdot
\begin{vmatrix}
1 & a & a^{2}\\
1 & b & b^{2}\\
1 & c & c^{2}
\end{vmatrix}
= -(b-a)(c-a)(c-b)
\end{align}

のように求められます。

最初の変形は,与式がヴァンデルモンドの行列式となるように第一列を使って第三列を変形しました。

補足

行列式の性質より,ヴァンデルモンドの行列式は転置しても成立します。

\begin{align}
\begin{vmatrix}
1 & x_{1} & x_{1}^{2} & \cdots & x_{1}^{n-1}\\
1 & x_{2} & x_{2}^{2} & \cdots & x_{2}^{n-1}\\
\vdots & \vdots & \vdots & \vdots & \vdots\\
1 & x_{n} & x_{n}^{2} & \cdots & x_{n}^{n-1}\\
\end{vmatrix}
&=
\begin{vmatrix}
1 & 1 & \cdots & 1\\
x_{1} & x_{2} & \cdots & x_{n}\\
\vdots & \vdots & \vdots & \vdots \\
x_{1}^{n-1} & x_{2}^{n-1} & \cdots & x_{n}^{n-1}
\end{vmatrix}
= \prod_{i<j}(x_{j}-x_{i})
\end{align}

$(i,i)$成分が$x_{i}^{2}+1$,それ以外の$(i,j)$成分が$x_{i}x_{j}$である$n\times n$行列の行列式の求め方

行列式の線形性により$x_{i}^{2}+1$を逐次分解していくことを考えます。第$i$行について分解すると,その行は

\begin{align}
(0,\ldots,0,1,0,\ldots,0),\quad
x_{i}(x_{1},\ldots,x_{i-1},x_{i},x_{i+1},\ldots,x_{n})
\end{align}

のいずれかの形となります。左側をパターン$A$,右側をパターン$B$とおく。全ての$(i,i)$成分を分解するとき,最終的に$2^{n}$個の行列式に分解されることが分かります。

毎回$2$つの行列式に分解していく木構造をイメージすると分かりやすいです。

$2^{n}$個の行列式は,各行がパターン$A$とパターン$B$のいずれかをとる重複組合せである$2^{n}$通りとも捉えられます。この$2^{n}$通りのうち,パターン$B$を少なくとも$2$行以上選ぶ行列式は$0$となるため,$0$とならない行列式は

  1. 全てパターン$A$
  2. いずれかの行$1$つだけがパターン$B$

の$n+1$個となります。1.の行列は単位行列$I_{n}$であるため行列式は$1$,2.の行列でパターン$B$を選んだ行を$i$とおくと,2.の行列を基本変形すると$x_{i}^{2}I_{n}$となるため,行列式は$x_{i}^{2}$となります。したがって,求める行列式は

\begin{align}
x_{1}^{2}+x_{2}^{2}+\cdots+x_{n}^{2}+1
\end{align}

となります。

$(i,i)$成分が$x_{i}+1$,それ以外の$(i,j)$成分が$1$である$n\times n$行列の行列式の求め方

上と同様に,行列式の線形性により$x_{i}+1$を逐次分解していくことを考えます。分解後の第$i$行は

\begin{align}
(0,\ldots,0,x_{i},0,\ldots,0),\quad
(1,\ldots,1)
\end{align}

のいずれかの形となる$2^{n}$個の行列式に分解されるため,左側をパターン$A$,右側をパターン$B$とおきます。このうち$0$とならない行列式は

  1. 全てパターン$A$
  2. いずれかの行$1$つだけがパターン$B$

の$n+1$個となります。1.の行列は単位行列$x_{1}\cdots x_{n}I_{n}$であるため行列式は$x_{1}\cdots x_{n}$,2.の行列でパターン$B$を選んだ行を$i$とおき第$i$列で列基本変形すると

\begin{align}
&
\begin{vmatrix}
x_{1} & 0 & \cdots & \cdots & \cdots & \cdots & 0\\
0 & \ddots & \vdots & \vdots & \vdots & \vdots & \vdots\\
\vdots & \vdots & x_{i-1} & 0 & 0 & \vdots & \vdots\\
1 & \vdots & 1 & 1 & 1 & \vdots & 1\\
\vdots & \vdots & 0 & 0 & x_{i+1} & \vdots & \vdots\\
\vdots & \vdots & \vdots & \vdots & \vdots & \ddots & \vdots\\
0 & \cdots & \cdots & \cdots & \cdots & \cdots & x_{n}
\end{vmatrix}\\[0.7em]
\rarr~&
\begin{vmatrix}
x_{1} & 0 & \cdots & \cdots & \cdots & \cdots & 0\\
0 & \ddots & \vdots & \vdots & \vdots & \vdots & \vdots\\
\vdots & \vdots & x_{i-1} & 0 & 0 & \vdots & \vdots\\
\vdots & \vdots & 0 & 1 & 0 & \vdots & \vdots\\
\vdots & \vdots & 0 & 0 & x_{i+1} & \vdots & \vdots\\
\vdots & \vdots & \vdots & \vdots & \vdots & \ddots & \vdots\\
0 & \cdots & \cdots & \cdots & \cdots & \cdots & x_{n}
\end{vmatrix}
\end{align}

となるため,行列式は$x_{1}\ldots x_{i-1}x_{i+1}\ldots x_{n}$となります。したがって,求める行列式は

\begin{align}
x_{1}x_{2}\cdots x_{n}\left(1+\frac{1}{x_{1}}+\cdots+\frac{1}{x_{n}}\right)
\end{align}

となります。

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