【数検1級対策】クラメルの公式

本記事では,数学検定1級で頻出のトピックについてまとめていきます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

クラメルの公式

連立方程式$A\vx=\vb$の解は,$\det(A)\neq 0$のもとで

\begin{align}
x_{i} &= \frac{\det(A_{i})}{\det(A)}
\end{align}

と表される。ただし,$x_{i}$は$\vx$の第$i$成分,$A_{i}$は$A$の第$i$列を$\vb$に置き換えた行列とする。

逆行列の余因子展開による表現から得られる公式です。証明は割愛します。

具体例

$a\neq\pm\sqrt{7}$のとき,次の連立方程式の解を求めよ。

\begin{cases}
2x + y + az = 2a\\[0.7em]
x + ay - 2z = 2\\[0.7em]
x + 2y - z = 1
\end{cases}

解答

クラメルの公式を利用する。

\begin{align}
A_{1} &=
\begin{vmatrix}
2a & 1 & a\\
2 & a & -2\\
1 & 2 & -1
\end{vmatrix}
= -3a^{2}+12a\\[0.7em]
A_{2} &=
\begin{vmatrix}
2 & 2a & a\\
1 & 2 & -2\\
1 & 1 & -1
\end{vmatrix}
= -3a\\[0.7em]
A_{3} &=
\begin{vmatrix}
2 & 1 & 2a\\
1 & a & 2\\
1 & 2 & 1
\end{vmatrix}
= -2a^{2}+6a-7
\end{align}

$A$の行列式は

\begin{align}
|A| &=
\begin{vmatrix}
2 & 1 & a\\
1 & a & -2\\
1 & 2 & -1
\end{vmatrix}
= -a^{2} + 7 \neq 0
\end{align}

となるため,クラメルの公式より

\begin{align}
x = \frac{-3a^{2}+12a}{7-a^{2}},\quad
y = \frac{-3a}{7-a^{2}},\quad
z = \frac{-2a^{2}+6a-7}{7-a^{2}}
\end{align}

となります。

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