【IPA対策】弱衝突耐性と強衝突耐性

本稿ではIPA試験で必要とされる知識をまとめます。

目次

弱衝突耐性と強衝突耐性

弱衝突耐性と強衝突耐性の定義は,下記の通りです。

  • 弱衝突耐性:あるメッセージm1と同一のハッシュ値をもつメッセージm2を見つけることが困難であること
  • 強衝突耐性:同一のハッシュ値をもつメッセージm1とm2を見つけることが事実上不可能であること

誕生日が自分と同じ人が見つかる確率が0.5となる人数は自分を含めて254人であるのに対し,日付は指定せずに誕生日が同じ人が見つかる確率が0.5となる人数は23人となります。前者は弱衝突耐性を突破しようとする試行,後者は強衝突耐性を突破しようとする試行です。

覚え方

弱衝突耐性と強衝突耐性を覚えようとするとき,なぜ弱衝突耐性は「弱く」て衝突耐性は「強い」のか理解に苦しむことがあると思います。上で説明した誕生日の例でも分かる通り,強衝突耐性を突破する方が弱衝突耐性を突破するよりも簡単です。これは強衝突耐性が「強い」という言葉のイメージを矛盾します。割り切って覚えられる方はよいのですが,管理人のように暗記が苦手な方は少し回り道をして覚えましょう。ここからの説明は数学的に厳密ではないため,あくまでも暗記のための手段だと捉えてください。

定義より「弱衝突耐性を有していれば強衝突耐性も有している」ことが成り立つことに注目します。衝突に対する耐性の「保証」を表すベン図を考えると,弱衝突耐性が強衝突耐性を包含することになります。なぜなら,強衝突耐性では保証できないが,弱衝突耐性では保証できる領域(=自分以外の誕生日)が存在するからです。一般に,ベン図が小さいほど「(条件が)強い」と表現するため,弱衝突耐性は「弱く」て強衝突耐性は「強い」とされているものと考えられます。

補足1

弱衝突耐性よりも「弱い」衝突耐性として「現像耐性」があります。これは,あるハッシュ値をもつメッセージを見つけることが困難であること,と定義されます。

補足2

弱衝突耐性は第二現像計算耐性とも呼ばれ,強衝突耐性は単に衝突耐性とも呼ばれます。

  • 現像耐性:ハッシュ値を固定
  • 第二現像耐性:片方のメッセージを固定(逆関数は求めなくてよい)
  • 衝突耐性:二つのメッセージは任意

つまり,現像耐性を破るのが一番困難で,次に第二現像攻撃を破るのが困難で,衝突耐性を破るのが一番容易であるという関係になります。これを理解すれば,ハッシュの攻撃として

  • 現像攻撃:衝突耐性を破ろうとする攻撃。逆関数解読のイメージ。
  • 第二現像攻撃:弱衝突耐性を破ろうとする攻撃。自分と同じ誕生日の人を見つける試行のイメージ。
  • 衝突攻撃:強衝突耐性を破ろうとする攻撃。誰でもいいから同じ誕生日のペアを見つける試行のイメージ。

を理解できるようになるはずです。

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