AWS認定試験に最短最速で合格するための方法を伝授します。
はじめに
AWSユーザは認定資格を保有することで,技術スキルとクラウドの専門知識を検証することができます。認定は基礎・アソシエイト・プロフェッショナルという3つのレベルと,設計・運用・開発・専門知識という4つの分野に分けられます。ただし,基礎レベルはクラウドプラクティショナーという認定資格名で表記されることもあります。
本稿では,ソリューションアーキテクトアソシエイト(SAA:AWS Certified Solutions Architect Associate)を最短最速で取得するための勉強方法や対策について伝授します。SAAは現在C03バージョンが実施されており,AWS認定の中でも中級(アソシエイト)レベルの資格となります。
結論
ソリューションアーキテクトアソシエイトを取得するためには,下記のように対策を進めるとよいでしょう。
知識にインデックスを貼るために利用します。
Udemyで演習問題をひたすら回し,見直しポイントをまとめておきます。
STEP2でまとめておいた間違えポイントを確認します。
不安な箇所は公式を頼ります。
詳細
管理人の持論として,AWS認定資格の勉強および対策は「書籍+Udemy+公式ソース」という三種の神器で立ち向かうことをおススメしています。最短最速で合格を目指すという目的に対しては,ベストの手段だと考えています。以下では三種の神器の詳細をみていくのですが,その前に出題範囲と管理人が考える受験の心得を確認しておきましょう。
実際には,書籍抜きで合格された方もいるでしょう。しかし,後ほど説明しますが,管理人は「知識にインデックスを貼る」ことを非常に重要視していますので,書籍を用いた勉強も推奨しています。
出題範囲
資格試験対策として第一歩目の定石は,敵を知ることです。まずは,自分が今から受けようとしている試験の出題範囲をおさえておきましょう。C03バージョンのSAAはSAA-C03とも表記され,出題範囲はAWS公式サイトに記載があります。試験概要や出題範囲を明文化した試験ガイドがpdf形式で配布されていますが,ここではそれらの内容を簡単にまとめておきます。
分野 | 出題比率 |
---|---|
セキュアなアーキテクチャの設計 | 30% |
弾力性に優れたアーキテクチャの設計 | 26% |
高パフォーマンスなアーキテクチャの設計 | 24% |
コストを最適化したアーキテクチャの設計 | 20% |
試験ガイドにも記載がある通り,試験には採点対象外の設問が15問含まれています。これはいわゆるダミー問題というやつで,今後正式な設問として採用できるかを統計的に判断するために利用されます。したがって,65問中50問で実際の採点が行われるということになります。安直に考えれば,合格スコアは70%ですので,35問以上正解することで試験合格となります。しかし,実際のスコアレポートを見ると一の位が0でないスコアが存在したため,1問20点ではなく受験者の統計的な分布にしたがって傾斜をかけているものと思われます。
試験対策の心得
勉強で得る知識というのは,タンスに服を片付ける行為と似ています。皆さんは何も意識せずとも,タンスの引き出しをそれぞれ「上着用」「下着用」「小物類」などと使い分けていますよね。そうしないと,どこに何の服が入っているか分からなくなってしまうからです。勉強も同じです。何も考えずにただ知識をつけるだけだと,その知識を使うときにどこから引っ張ってくればよいのか分からなくなってしまうのです。
管理人は,勉強内容を分野ごとにマッピングすることは非常に重要だと考えています。これはAWSの資格試験対策だけに限らず,中学校や高校の定期試験,大学受験,大学院受験などにも通じる考え方で,管理人が勉強人生を通じて意識していることです。知識の引き出しに名前をつけること,すなわち自分の勉強している知識がどの領域に属するのかを意識することを,本稿では「知識にインデックスを貼る」と表現します。
DBパフォーマンス向上の文脈で登場する概念であるインデックスを使った比喩になります。
受験対策の心得を踏まえると,まずは出題範囲が大きく4つの分野に分けられるということを把握しましょう。これ以降,AWSについての知識を得るときは,必ず「4つある分野のうちどこに属する内容なのか」を意識するようにしたいです。しかし,タンスの引き出しが4つしかないのは少し心許ないと思います。そこで,以下ではタンスの引き出しを増やしつつ最短最速でAWS認定資格の合格を目指すため,三種の神器を使った勉強方法をお伝えしていきます。
書籍
Kindle限定にはなってしまうのですが,まずは下記の電子書籍がおすすめです。
試験で問われる内容の全体像を把握するためには,下記の書籍が参考になります。
しかし残念ながら,これらの書籍だけで合格できる人は少ないでしょう。あくまでも,知識のインデックスを貼るためのベースづくりを書籍で行います。書籍を用いたAWS認定資格試験対策のデメリットとして,内容の最新性が担保されていないことと,本番形式の問題演習に慣れることができないことが挙げられます。前者および後者のデメリットをカバーしてくれるのが,次に紹介するUdemyになります。
Udemy
Udemyは,教えたい人と学びたい人のマッチングプラットフォームです。Udemyの教材では,購入後に内容がアップデートされることもあるため,書籍と比べて迅速に最新情報をキャッチアップすることができます。また,教材によっては本番の試験形式と同様のフォーマットで学ぶことができるため,試験対策として非常に重宝するサービスです。
ソリューションアーキテクトアソシエイトに合格するためには,下記講座をおすすめします。
- 【SAA-C03版】AWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイト模擬試験問題集(6回分390問)
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本番と同じ形式の問題演習でソリューションアーキテクトアソシエイトに必要な知識を得ることができます。作者による本コースの説明欄を要約して抽出すると,「難易度と問題傾向は最新のC03版に合わせ,頻繁に出題される基本問題も多様な問題を網羅している」とのことです。今一歩合格が出来ていない方向けの最終仕上げとしての問題集という建前ではあるものの,その問題の網羅性から管理人がおススメしているコースになります。
Udemyでは月に数回セールを行っています。急ぎで対策を行いたい場合を除き,定価で購入するのではなくセール時に購入するようにしましょう。平均的には25%OFFのセールを行っている印象があります。
見直しポイント集
上記講座を「基本レベルと本番レベルで100点を取れるようになるまで」繰り返し解きましょう。ただし,漫然と問題を解いていくのではなく,間違えた部分や分からなかった部分をまとめながら解き進めることをおすすめします。この方法は,AWSに限らず,問題演習形式の試験対策で管理人が強く推奨している方法で,AWS認定資格試験の対策でも有効な手段だと考えています。IPAの試験対策でも有効でしょう。
間違えた部分や分からなかった部分のまとめ方としては,ノートやNotionなど何でもよいです。管理人の場合は,ブログ上で見直しポイントをまとめています。
上の見直しポイント集は一問一答形式でしたが,「XXとYYの違い」や体系的に知識を得る必要があると感じられたポイントに関しては,一問一答形式ではなく独自まとめを作成することを強くおすすめします。管理人の場合は,見直しポイント集と同様に,ブログ上で独自まとめを作成しています。
直前対策
試験直前には,まとめた見直しポイントを確認しましょう。管理人の場合は,試験前日に見直しポイントをひたすら眺めて知識を定着させるようにしています。一週間前くらいから少しずつ定着させてもよいでしょう。分からなかった部分だけを繰り返し見直すことになりますので,まさに最短最速での知識定着に最適です。
さらに,見直しポイント集は試験直前の心理的なお守り的な役割も果たします。「この見直しポイント集だけを確認しておけんば大丈夫だ」という安心感を得ることができますし,なにより「これでダメだったら勉強方法自体が悪かったのだ」と納得することもできます。
公式ソース
Web上には,AWS認定資格試験の勉強方法や対策がたくさん溢れ返っています。多くの資料では,AWS公式ソースを必ず確認するべきという立場をとっている人が多いです。管理人は,この立場に少し懐疑的です。なぜなら,AWS公式ソースには「ある程度AWSの素養がある人」でないと理解が難しい内容が含まれているからです。個人的には,初学者に対して「AWS公式ソース読めよ」と突きつけるのは強者の理論だと思っています。
AWS認定が公式で推奨している対策方法を整理すると,以下のようになります。
試験ガイドは一読する価値はあります。サンプル問題は10題,公式練習問題集は20題しかありませんので,これだけでは合格することは難しいでしょう。しかしながら,公式練習問題集は以前有料提供されていたクオリティのもので,試験のインタフェースを把握するという意味では価値のあるものになっています。
試験準備無料コースに含まれるExam Readinessはウェビナー形式なのですが,管理人はあまり活用していません。他にも,AWS Technical EssentialsやAWS Power Hourが試験準備無料コースに含まれますが,これらよりもUdemyを活用した対策の方が試験合格という文脈においては効果的です。ただし,AWS Technical Essentialsに関しては4h程度のコンテンツとなっていますので,余裕があればサクッと目を通してもよいと思います。
AWSには試験準備有料コースも用意されており,管理人も実際にArchitecting on AWSを受講したことがあるのですが,価格帯がやや高すぎるのと,Udemyで十分合格レベルまで到達することができるという理由で,管理人はおすすめしておりません。Architecting on AWSに関しては,試験対策というより実務に向けた準備の色合いが強いセミナーになっています。また,ホワイトペーパーに関しても,前述した強者の理論になるため,管理人はおすすめしておりません。
以上の理由から,AWS認定が公式で推奨している対策方法の中でおすすめできるのは,試験ガイドと公式練習問題集くらいです。一方,管理人がAWS公式ソースの中で強くおすすめしたいのは,下記の二点です。
Black Beltは,AWS公式が各サービスを解説している資料および動画になります。Youtubeで公開されていることが多く,その内容も強者の理論ではない場合が多いです。管理人はSREとして働いていますが,未知のAWSサービスを触ることになったときには,このBlack Beltを参照することが多いです。また,公式ドキュメントも必要に応じて参照しましょう。ただし,和訳が不適切である箇所や,和訳が存在しないため英語で読むことを強制されるドキュメントも存在するため,注意が必要です。
まとめ
- 書籍で知識にインデックスを貼るための全体観を把握する
- Udemyの問題演習を回し,不明な部分は見直しポイントにまとめる
- 見直しポイントを確認して最短最速で知識の定着を図る
- 必要に応じてBlack Beltと公式ドキュメントを参照する
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