本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
コーシーシュワルツの不等式
任意の実数$a_{i},b_{i}$と任意の正の整数$n$に対して,
\begin{align}
\left(\sum_{i=1}^{n}a_{i}^{2}\right)\left(\sum_{i=1}^{n}b_{i}^{2}\right)
\geq \left(\sum_{i=1}^{n}a_{i}b_{i}\right)^{2}\label{主題}
\end{align}
\left(\sum_{i=1}^{n}a_{i}^{2}\right)\left(\sum_{i=1}^{n}b_{i}^{2}\right)
\geq \left(\sum_{i=1}^{n}a_{i}b_{i}\right)^{2}\label{主題}
\end{align}
が成り立つ。等号成立条件は,すべての$i=1,2,\ldots,n$に対して
\begin{align}
a_{i}x &= b_{i}\label{等号成立条件}
\end{align}
a_{i}x &= b_{i}\label{等号成立条件}
\end{align}
となる$x$が存在することである。
「コーシー・シュワルツ」という表記になることや「コーシー・シュバルツ」と呼ばれることもあります。
証明
やや天下り的ですが,二次方程式
\begin{align}
\sum_{i=1}^{n}(a_{i}x-b_{i})^{2} &= 0\label{二次方程式}
\end{align}
\sum_{i=1}^{n}(a_{i}x-b_{i})^{2} &= 0\label{二次方程式}
\end{align}
を考えます。左辺は$0$以上となりますので,式($\ref{二次方程式}$)の解は高々一つとなります。このとき,二次方程式の判別式$D$は$0$以下となりますので,
\begin{align}
\frac{D}{4} &= \left(\sum_{i=1}^{n}a_{i}b_{i}\right)^{2}-\left(\sum_{i=1}^{n}a_{i}^{2}\right)\left(\sum_{i=1}^{n}b_{i}^{2}\right)\leq 0
\end{align}
\frac{D}{4} &= \left(\sum_{i=1}^{n}a_{i}b_{i}\right)^{2}-\left(\sum_{i=1}^{n}a_{i}^{2}\right)\left(\sum_{i=1}^{n}b_{i}^{2}\right)\leq 0
\end{align}
が得られます。したがって,式($\ref{主題}$)が示されました。等号成立条件は$D=0$となりますので,式($\ref{二次方程式}$)が$0$となるのは
\begin{align}
a_{i}x-b_{i}&=0
\end{align}
a_{i}x-b_{i}&=0
\end{align}
のときになります。すなわち,すべての$i=1,2,\ldots,b$に対して式($\ref{等号成立条件}$)となる$x$が存在することになります。
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