本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
部分列
自然数の値を取る数列$(n(k))_{k\in\mN}$が狭義単調増加であるとき,数列$(a_{n})_{n\in\mN}$から作られた数列$(a_{n(k)})_{k\in\mN}$を,$(a_{n})_{n\in\mN}$の部分列という。
名前の通り元の数列の一部を取り出してできる数列を部分列といいます。
補足1
部分列は合成関数を用いて表すこともできます。数列$(a_{n})$は$n$を$a_{n}$に対応づける関数$f$を表しますが,それとは別に$k$を$n(k)$に対応づける関数$g$を考えます。すると,部分列$a_{n(k)}$は合成関数$f\circ g$と表すことができます。
補足2
$n(k)$は$n$から部分的に取り出してきた自然数であることと,$n(k)$が狭義単調増加であることから,すべての$k\in\mN$に対し
\begin{align}
k\leq n(k)\label{k}
\end{align}
k\leq n(k)\label{k}
\end{align}
が成り立つことが分かります。このことから,$(a_{n})$の極限が$a$のとき,$(a_{n})$の任意の部分列も$a$に収束することが分かります。なぜなら,$(a_{n})$が収束することから,任意の$\varepsilon$に対しある$n_{0}\in\mN$が存在し,$n\geq n_{0}$のとき
\begin{align}
|a-a_{n}|<\varepsilon
\end{align}
|a-a_{n}|<\varepsilon
\end{align}
が成り立ちます。同時に,式($\ref{k}$)より,$k\geq n_{0}$ならば$n(k)\geq n_{0}$となりますので,
\begin{align}
|a-a_{n(k)}|<\varepsilon
\end{align}
|a-a_{n(k)}|<\varepsilon
\end{align}
が成り立つことが分かります。これは$(a_{n})$の部分列$(a_{n(k)})_{k\in\mN}$が$a$に収束する主張に他なりません。
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