【徹底解説】可換な線型変換の合成と核

本記事は数学の徹底解説シリーズに含まれます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

可換な線型変換の合成と核

$G,H$をベクトル空間$V$の可換な線型変換,すなわち$GH=HG$であるような線型変換とし,$v$を$V$の元の一つとする。もし,

\begin{align}
G^{l}(v)=0,\quad H^{m}(v)=0 \label{仮定}
\end{align}

となるような正の整数$l,m$が存在するならば,

\begin{align}
(G+H)^{t}(v) &= 0\label{主題}
\end{align}

となるような正の整数$t$が存在する。

分解定理の証明に利用される定理です。

証明

可換な線型変換には二項定理が適用できますので,

\begin{align}
(G+H)^{t} &= G^{t}+{}_tC_{1}G^{t-1}H+\cdots+{}_tC_{t-1}GH^{t-1}+H^{t}\label{二項定理}
\end{align}

と表されます。式($\ref{二項定理}$)の各項の$G$と$H$の指数を$G^{r}H^{s}$とおくと,$r,s$は$r{+}s=t$を満たす正の整数になります。ここで,$t\geq l+m$を満たすように$t$を設定すると,$r\geq l$または$s\geq m$が成り立ちますので,全ての項に式($\ref{仮定}$)を適用することができます。すなわち,

\begin{align}
G^{r}H^{s}(v) &= 0\label{結果}
\end{align}

となります。式($\ref{結果}$)を式($\ref{二項定理}$)に代入すると,式($\ref{主題}$)が示されます。

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