ネットワークスペシャリスト合格に必要となる知識を一問一答形式で確認していきます。
パケットの構造
データリンク層を流れるパケットとMTU/MSSを可視化せよ
イーサネットヘッダは宛先→送信元の順番である一方で,IPヘッダとTCP/UDPヘッダは送信元→宛先の順番であることに注意する。これは,イーサネットが元々はブロードキャスト通信から自分宛のパケットのみを受信する仕組みであったことに由来している。一方で,ネットワーク層以上に関しては「指定するMACアドレスにはたどり着いたことが保証されているため送信元情報から確認する」と理解するとよい。
イーサネットを流れるビット列の順番について説明せよ
オクテット(8bit)単位でデータを取り込んで最下位ビットから最上位ビットに向けてビット列を組み立てる。それゆえ,イーサネットにはオクテットごとに前後が入れ替わったビット列が流れる。
イーサネットのプリアンブルを書け
- 10101010×7 + 10101011
最初の7bitをプリアンブル,末尾の11を含むオクテットをSFD(Start Frame Delimiter)という。
イーサネットヘッダ内訳とFCSの長さをそれぞれ書け
- 宛先MACアドレス:6byte
- 送信元MACアドレス:6byte
- タイプ:2byte
- 802.1QVLANタグ:4byte
- FCS:4byte
HDLC手順を簡単に説明せよ。
相手の応答を待たずにフレーム単位で通信を連続で行うため伝送効率が高く,誤り検知にCRCを利用するため信頼性も担保している。ただし,CRCはあくまでも誤り検知だけであり,誤り訂正の機能は有さないことに注意する。
従来から利用されているクライアントとサーバの伝送制御手順として,ベーシック手順(基本形データ伝送制御手順)が挙げられる。ベーシック手順は,SYN符号01101000
でブロックの切れ目を識別し,文字(キャラクタ)ごとにデータを送受信する手順であるため,伝送効率が悪いことが指摘されていた。さらに,誤り検知ではパリティチェックを利用するため2ビット以上の誤りを検知できず,信頼性に欠けるという問題点があった。原理的に,文字コード以外のデータを送受信できなかった点にも注意されたい。
HDLC手順はハイレベルデータリンク手順とも言われ,ベーシック手順の伝送効率の悪さおよび信頼性の低さを克服しようとするものである。具体的には,フラグシーケンス01111110
を用いてフレームの切れ目を識別し,1が5回続いたら0を挿入するというルールが定められているため,原理的に文字コード以外のデータを送受信することが可能になった。誤り検知では巡回冗長検査(CRC)を利用するため,連続したビットの誤りであるバースト誤りを検出することができる。
HDLC手順のフレーム構成を図示せよ。
アドレス部には送信先アドレス,制御部では送信シーケンス番号・受信シーケンス番号や監視に関するフラグ,ペイロード部では送受信したいデータ,FCSではCRCを格納する。
PPPとHDLCのフレームフォーマットの特徴を述べよ。また,そのデメリットを述べよ
01111110
というフラグシーケンスがフレームの区切りを表すという点。フレーム内部では1が6つ以上連続することは許されないため,5つ以上連続した場合には直後に0を挿入する必要がある。それに伴って,受信側でも1が5つ連続した場合にはその直後の0は削除しなければならないことになっている。したがって,PPPやHDLCのフレームフォーマットでは0の挿入や削除でCPUに大きな負荷をかけてしまうというデメリットがある。
PPPoEのデータフレームフォーマットを述べよ。その際,イーサネットのフレームフォーマットのMTU/MSSと比較せよ。
PPPoEのフレームフォーマットは,イーサネットのフレームフォーマットに対して2byteのPPPヘッダと6byteのPPPoEヘッダを挿入したものになっている。イーサネットのフレームフォーマットではMTUは1500byteでMSSは1460byteであるため,イーサネットのフレームフォーマットではMTUは1492byteでMSSは1452byteとなる。なお,図中ではプリアンブルが8byteとなっているが,実際にはプリアンブルが7byteでSFDが1byteの内訳になっている。
パケットキャプチャに必要なスイッチの設定とPC側の設定を述べよ
パケットキャプチャを行うためには,スイッチにシェアードHUB(バカHUB)を利用するか,ミラーリング機能を利用することにより,流れるパケットをキャプチャするPCに流す必要がある。さらに,実際にはパケットはキャプチャを行うPC宛に流れてきている訳ではないので,パケットを破棄しないようにPCをプロミスキャス(無差別)モードに設定する必要がある。
有線LAN
同軸ケーブルにおけるCSMA/CDでが衝突をどのように検知しているか
送信中に電圧が規定範囲外となった場合に衝突と判断する。
受信先はどのように衝突が起こっていることを知るのか
送信先が衝突を検知した場合には,ジャム信号と呼ばれる32bitの特別な信号が送られる。このとき,受信側はジャム信号をフレームのFCSと認識してしまい,FCSの計算が合わないため,フレームが破棄される。すなわち,実際には受信先は信号が衝突したことは意識していない。
初期のイーサネットやFDDIで用いられていたネットワーク形式はなにか
媒体共有型のネットワーク。同じ通信路を使ってデータの送受信を行うため,基本的には半二重通信となり,CSMA/CD方式などが必要になる。
現在広く使われているイーサネットのネットワーク形式はなにか
媒体非共有型のネットワーク。スイッチがフレームの転送先を振り分けてくれるため,コンピュータとスイッチのポートが一対一に接続される場合には全二重通信が可能である。送受信を同時に行うことができるため,CSMA/CD方式が不要になり,効率の良い通信が可能になる。
CSMA単体ではどのような意味を持つか
搬送波を監視して,データの送信を制御する方式,
SANで利用されるネットワークを述べよ。また,シリアルATAやLANとの違いを述べよ。
SANでは,ファイバチャネルなどによる専用ネットワークが利用される。シリアルATAは内臓ストレージとの接続形態を表し,LANはクライアント・サーバ間の接続形態を表す。SANはサーバ・ストレージ間の接続形態を表す。
ポーリング/セレクティング方式を説明せよ
送信権制御方式の一つ。
- コンテンション方式:CSMAのこと
- トークンパッシング方式:リング型やスター型のトポロジーでトークンを受け取ったノードだけが送信を行うことができる方式。
- ポーリング/セレクティング方式:マスタコントローラと呼ばれる中央の制御局が,従属局の通信を制御する一対多数方式。制御局→従属局の通信をポーリングと呼び,その逆をセレクティングと呼ぶ。マスタコントローラがメッセージを中継するセントライズド方式と,マスタコントローラが各ノードに送信要求の有無を問い合わせて送信要求のあるノードに送信権を与えるノンセントライズド方式がある。
DSUを説明せよ。また,DSUとFWを接続するモジュラジャックは何か。
光ファイバー回線におけるONUと同様に,DSU(Digital Service Unit)はISDN回線などメタル回線における回線終端装置のことを指す。DSUとFWは,RJ-45と呼ばれるモジュラジャックを通して接続される。
イーサネットの規格をまとめよ
覚え方にコツが必要。まず,規格名の冒頭の数字は速度を表していることを理解する。1000であれば1Gbpsで10Gであれば10Gbpsとなる。次に,BASEは伝送方式を表すが,基本的にはBASEだけをおさえておけばよい。ハイフンの後ろのアルファベットはケーブルの種類を表している。Tはツイストペアケーブルを表す。SとLは光ファイバの種類を表す。Sはショートで波長が短いことを表す。短い波長をいくつか組み合わせることで複数のデータを同時に送信できるため,Sは光ファイバのうちマルチモードを表す。Lはロングで波長が長いことを表す。長い波長は高速かつ安定した通信を可能にするため,光ファイバのうちシングルモードを表す。これらのルールにより,1000BASE-LX以外の規格をおさえることができる。1000BASE-LXだけ例外で,Lと付くのにも関わらずマルチモードも可能であるという点に注意が必要だ。
規格 | 速度 | ケーブル | 対応カテゴリ | 距離 |
---|---|---|---|---|
100BASE-TX | 100M | ツイストペア | 5以上 | 100m |
1000BASE-T | 1Gbps | ツイストペア | 5e以上 | 100m |
2.5GBASE-T | 2.5G | ツイストペア | 5e以上 | 100m |
5GBASE-T | 5G | ツイストペア | 6以上 | 100m |
10GBASE-T | 10Gbps | ツイストペア | 6A以上 | 100m |
規格 | 速度 | ケーブル | 距離 |
---|---|---|---|
1000BASE-SX | 1Gbps | 光ファイバー(マルチモード) | 550m |
1000BASE-LX | 1Gbps | 光ファイバー(シングル/マルチモード) | 5km/550m |
10GBASE-SR | 10Gbps | 光ファイバー(マルチモード) | 300m |
10GBASE-LR | 10Gbps | 光ファイバー(シングルモード) | 10km |
「規格」の列はプロトコルの別名を表し,厳密にはIEEEで正式な名称が付けられている。
ツイストペアケーブルはLANケーブルと同義。2.5Gと5Gは比較的新しい規格(IEEE 802.3bz)でマルチギガイーサネットと呼ばれていて,広く普及しているカテゴリ5eや6のLANケーブルをそのまま使える。
光ファイバーにおいてマルチモードよりもシングルモードの方が利点が多そうに見えるが,マルチモードにはどのような利点があるか。
折り曲げへの耐性とコスト。ただし,ケーブル自体のコストにはそこまで差があるわけではなく,光トランシーバのコストに差があることに注意が必要。
無線LAN
IEEE802.11の変調方式/周波数帯/最大速度/最大チャネル幅を述べよ
規格 | 変調方式 | 周波数帯 | 最大速度 | 最大チャネル幅 | 世代 |
---|---|---|---|---|---|
11b | DSSS/CCK | 2.4GHz | 11Mbps | 22MHz | - |
11a | OFDM | 5.0GHz | 54Mbps | 20MHz | - |
11g | OFDM | 2.4GHz | 54Mbps | 20MHz | - |
11n | OFDM | 2.4/5.0GHz | 600Mbps | 20/40MHz | Wi-Fi 4 |
11ac | OFDM | 5.0GHz | 6.9Gbps | 80/160MHz | Wi-Fi 5 |
11ax | OFDMA | 2.4/5.0/6.0GHz | 9.6Gbps | 80/160MHz | Wi-Fi 6 |
IEEE802.11axの特徴を述べよ
Wi-Fi6と呼ばれる規格でもあり,2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応している。多数の端末が接続する高密度な環境において,平均スループットを向上させるプロトコルとなっている。OFDMAは周波数帯域を利用して多重通信を可能にするため,一つの通信で複数の機器に接続することができる。同時に,11axでは空間的な多重化の改善も行っている。具体的には,11acから採用されていたビームフォーミングを利用して空間的に多重化を可能にする技術であるMU-MIMOに関して,11acではダウンリンク(アクセスポイント→クライアント)のみであったのに対し,11axではアップリンク(クライアント→アクセスポイント)もサポートしている。他にも,信号受信待機の必要がないときに,子機側の通信機能をスリープ状態へ移行させるTWT(Target Wake Time)により,省エネを実現している。
2.4GHzと5GHzの特徴をまとめよ
一般に,周波数が高ければ高いほど波は直進性が高く,低ければ低いほど波はよく回折する。これは,ホイヘンスの原理を障害物の端点に適用することにより,覚えることなく理解することができる。波は素元波の重ね合わせでできていることから,障害物の裏側には障害物の端点を中心とする素元波が回り込むことになる。このとき,周波数の高い素元波は角度を少し変えるだけで位相が大きくズレてしまうために,隣合う素元波と打ち消し合う作用が強まってしまう。したがって,周波数が高い波ほど障害物の裏に回り込みにくいという性質がある。一方で,周波数が高い波は同じ秒数で多くの情報量を伝えることができる。また,2.4GHzはBluetoothや電子レンジなど多くの機器が利用している周波数帯でもある。これらを踏まえると,2.4GHzと5.0GHzの特徴は以下のようにまとめられる。
- 2.4GHz:障害物に回り込みやすいが他の機器と干渉しやすい
- 5.0GHz:2.4GHzと比べて安定かつ高速であるが障害物に回り込みにくい
ASK/FSK/PSK/BPSK/QPSK/QAM/OFDM/OFDMA/TDM/TDMA/DSSS/CCK/FH/CDMの概要を説明せよ
- ASK(Amplitude Shift Keying):振幅変調
- 搬送波の振幅方向の強弱を利用して伝送する。
- FSK(Frequency Shift Keying):周波数変調
- 搬送波の周波数を変化させることで伝送する。
- PSK(Phase Shift Keying):位相変調
- 搬送波の位相を変化させることで伝送する。
- BPSK(Binary Phase Shift Keying):二位相偏移変調
- PSKの位相を2つ(Binary)に制限。
- QPSK(Quarter Phase Shift Keying):四位相偏移変調
- PSKの位相を4つに制限。
- QAM(Quadrature Amplitude Modulation):直角位相振幅変調
- 位相が直交する二つの波を合成して搬送波として振幅を変化させる。
- OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing):直交周波数分割多重変調
- 互いに直交した搬送波を用いることで複数の情報を干渉させない。数学的に分解可能という意味。
- OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access):直交周波数分割多元接続
- OFDMにTDMAを導入。搬送波の使用権を高速に切り替えることで効率化する。
- TDM(Time Division Multiplexing):時分割多重化
- 送信時間を高速に切り替えて複数の信号を順番に割り当てる多重化方式。
- TDMA(Time Division Multiplexing Access):時分割多重化接続
- TDMを用いた多元接続。
- DSSS(Direct Sequence Spectrum Spreading):直接拡散方式
- 拡散(PN)符号とデータの信号を合成する。802.11.bやZigbeeなど。
- CCK(Complementary Code Keying):相補型符号変調方式
- 拡散符号に情報を乗せる技術。DSSSと並列の概念で802.11.bの方式。
- FHSS(Frequency Hopping Spectrum Spreading):周波数ホッピング方式
- 周波数を一定の規則に従って高速に切り替える。Bluetoothなど。
- CDM(Code Division Multiplexing):符号分割多重化
- 符号化した複数の信号を同時に同じ周波数帯上で送受信する多重化方式。
Bluetooth/Zigbee/無線LANを比較せよ
Bluetooth | Zigbee | 無線LAN | |
---|---|---|---|
規格 | IEEE802.15.1 | IEEE802.15.4 | IEEE802.11n/ac |
主な一次変調 | PSK/DQPSK | QPSK | BPSK/QPSK/QAM |
主な二次変調 | FHSS | DSSS | MIMO-OFDM |
最大到達範囲 | 10m | 30m | 100m |
最大スループット | 3Mbps | 250kpps | 6.93Gbps |
OFDM/DSSS/FHの利点と欠点を述べよ
- OFDM
- 利点:高速・高品質。限られた周波数帯を利用するためマルチパス(障害)環境に対応可能。
- 欠点:信号の振幅が大きく変化することから,許容される平均送電電力よりも小さく設計する必要がある。継続的に帯域を占有してしまう。搬送波が固定されるため周波数選択制の妨害に弱い。
- DSSS
- 利点:信号電圧が雑音レベルになるため秘匿性が高い。
- 欠点:周波数帯域の利用効率が悪い。利用する周波数帯域が広いため,基地局に近く,かつ同じ周波数帯を利用する電波による遠近問題が起こりやすい。
- FH
- 利点:回路や制御が単純で省電力化できる。
- 欠点:周波数帯域の利用効率が悪い。
無線LANの高速化技術を三つ述べよ
- MIMO:チャンネルを増やさずにアンテナを複数に束ねる
- チャンネルボンディング:複数のチャンネルを束ねる
- フレームアグリゲーション:宛先が同じ複数のフレームを連結し,ヘッダやプリアンブルのオーバヘッドを少なくする
802.11nのMIMOはSU-MIMOで単一ユーザ(Single User)が順番に通信する方式だったが,802.11acのMIMOはMU-MIMOで複数ユーザ(Multi User)が同時に通信する方式となった。
2.4GHz帯のチャネル数はいくつか。
1〜13の13ch。干渉を防ぐためには,1,5,9,13や1,6,11のように4ch分以上の間隔を空ければよい。
5.0GHz帯のチャネル数はいくつか。DFS機能と合わせて説明せよ。
群 | 中心となる周波数帯 | チャネル数 | レーダー利用 | 屋外利用 | DFS機能 |
---|---|---|---|---|---|
W52 | 5.2G | 4 | × | × | 不要 |
W53 | 5.3G | 4 | ⚪︎ | × | 必要 |
W56 | 5.6G | 11 | ⚪︎ | ⚪︎ | 必要 |
DFS(Dynamic Frequency Selection)とは,レーダー等の重要な通信を検知した場合にそのチャネルを停止し,他のチャネルに切り替える機能のことを指す。W53は屋内で利用されるが,屋外に漏れ出す可能性を考慮すると,気象レーダや航空レーダが利用する周波数帯であるためにDFS機能が必要となっている。
**バンドという用語を説明せよ。
- デュアルバンド:APが2.4GHz帯と5GHz帯(主にW52/W53)の二つを同時に使うこと
- トライバンド:APが2.4GHz帯と5GHz帯(W52/W53)と5GHz帯(W56)の三つを同時に使うこと
- クアットバンド:APが2.4GHz帯と5GHz帯(W52/W53)と5GHz帯(W56)と6GHz帯の四つを同時に使うこと
トライバンドをトリプルバンドと誤解しないように注意する。
SSIDのセキュリティ対策およびその限界をMACアドレスフィルタリングと併せて述べよ。
SSIDのセキュリティ対策は下記。
- ANY接続拒否:SSIDが空白またはANYで接続を要求する通信を拒否する
- ステルス(隠蔽)機能:SSIDを隠蔽する
MACアドレスによるセキュリティ対策は下記。
- MACアドレスフィルタリング:利用者のPCをMACアドレスにより認証する
しかし,SSIDとMACアドレスは暗号化ができず簡単に盗聴できてしまうため,セキュリティ対策としては不十分である。
無線LANが繋がるまでの流れを説明せよ。
フェーズ | 詳細 |
---|---|
アソシエーション | 端末はAPから送信されるビーコンをスキャンして適切なAPを選択する 端末はプローブ要求を送り,APはプローブ応答を返す アソシエーションフェーズでも認証ステップは存在するが,後の認証フェーズに委譲することが多い 端末はアソシエーション要求を送り,APはアソシエーション応答を返す |
認証 | 共通鍵の素であるマスタキーを生成する パーソナルモードではSSIDに対するパスワードで認証を行う エンタープライズモードでは認証サーバがパスワード/証明書/SIMなどに基づいて認証を行う 認証サーバはマスタキーの素となるセッション鍵をAPと端末に配布する 端末-AP間はLAN上でEAPを流せるようにカプセル化するEAPoLを利用する AP-認証サーバ間はRADIUSというUDPの認証プロトコルを利用する |
共通鍵生成 | 端末とAP間で4wayハンドシェイクを行い,認証フェーズで生成したマスタキーから共通鍵を生成する ユニキャスト用のPTK(pairwise transit key)とマルチキャスト用のGTK(group temporal key)を生成する |
暗号化 | 共通鍵を利用して暗号化通信を開始する |
Bluetoothの変調方式を説明せよ。
2.4GHz帯のISMバンドを79チャネルに分割し,1秒間に1600回チャネルを切り替えるFHSS(frequency hopping spread spectrum)を利用している。この際,エラーが発生しているチャネルを検出して使わないように避けてくれるAFH(Adaptive Frequency Hopping)が利用される。なお,Bluetooth LE(low energy)の場合は40チャネルに分割する。
種々のデータリンク
ATMの特徴と大きな問題を説明せよ
ATMは「ヘッダ5byte」と「データ48byte」で構成されるセルと呼ばれる小さな単位を用いて回線の占有時間を短くすることにより,効率のよい転送を目指したデータリンクである。送信権の制御がないため,帯域を細かく分ける機能を利用する。しかし,一つのセルには48byteのデータしか格納できず,そのデータにはIPヘッダやTCPヘッダも含まれるため,上位層のデータをほとんど送信することができない。そこで,AAL(ATM Adaptation Layer)と呼ばれるATMとIPの中間層を利用することが多く,最大192個のセルを一つのIPデータグラムとして送信することができる。一方で,ATMにはセルごとの再送機能がないため,一つのセルでエラーが起これば全てのセルを再送する必要がある。このため,ATMでは末端の帯域の合計がバックボーンの帯域よりも小さくなるように設計するなどといった輻輳対策などの工夫が必要になる。
アナログ電話回線とADSLの違いはなにか
電話回線はアナログ回線のうち音声帯域のみを抽出した回線であり,ADSLではそれ以外の帯域を活用する。具体的には,電話局の交換機手前までの回線にスプリッタと呼ばれる分配器を設置して,音声帯域とデータ通信用の帯域を分離・混合する。ちなみに,上記形式の回線はADSL以外にもVDSL/HDSL/SDSLなどがあり,総称してxDSLと呼ぶこともあるが,ADSLが最も普及していた方式である。
LPWAを説明し具体例を挙げよ
Low Power, Wide Areaの略称。消費電力が低く長距離のデータ通信が可能なネットワークのことを指す。例えば,Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)は920MHz帯を使用するLPWA規格のメッシュ型ネットワークである。
ループの検出と冗長化
ループを検出・防止するために利用される技術の規格と名称を三つ述べよ
- IEEE802.1D:スパニングツリー
- IEEE802.1ab:LLDP(Link Layer Discovery Protocol)
- IEEE802.1ax:リンクアグリゲーション
スパニングツリーでやり取りされるBPDUにおけるブリッジIDフィールドを書け
BPDUはBridge Protocol Data Unitの略称であり,ブリッジIDフィールドと呼ばれる以下のフィールドを利用する。
STPの目的を二つ述べよ
- ループの回避
- 冗長性の確保
なお,帯域確保が可能であるという観点から,L2における冗長性の確保はスタックやリンクアグリゲーションの方が好んで用いられる。
STPで覚えるべきポートのポイントを述べよ
下位スイッチのルートポートから,上位スイッチの指定ポートへ通信経路を確保する。このことを覚えておけば,STPにおけるポートの種類の決め方も理解できる。下記の図において,MACアドレスを
- スイッチ1:aa::bb:cc:44:44:44
- スイッチ2:aa::bb:cc:33:33:33
- スイッチ3:aa::bb:cc:22:22:22
とおき,プライオリティ値は等しいとする。
ルートブリッジはプライオリティ値+MACアドレスによって定められるためスイッチ3がルートブリッジとなり,ルートブリッジのポートを指定ポートに設定する。非ルートブリッジでは,プライオリティ値+MACアドレスが最も近いポートがルートポートになる。すなわち,ルートブリッジに近いポートを指定ポートとして,遠いポートを非指定ポート,すなわちブロッキングポートとなるため,スイッチ1・スイッチ2間の接続においてスイッチ2側が指定ポート,スイッチ1側がブロッキングポートとなる。このような設定を行うことで,下位スイッチのルートポートから上位スイッチの指定ポートへ通信経路を確保した木構造が構成される。
STPの四つのポート状態を述べたうえで,STPの欠点を説明せよ。さらに,その対策を述べたうえで,改善後のポート状態を述べよ。
STPには以下の四つのポート状態が存在する。
- ブロッキング:BPDUのみを受信。約20s受信しなければ障害とみなす。
- リスニング:BPDUの送信やポート種類の選定。約15sの待ち時間を要する。
- ラーニング:流れるトラフィックからMACアドレスを学習。約15sの待ち時間を要する。
- フォワーディング:データ転送。
以上を見て分かる通り,STPでは待ち時間に最大約50sを要する。これは「PCを接続しても直ちに通信が可能な状態にならない」ことを意味している。RSTPでは,非指定ポートを代替ポート(とバックアップポート)として役割を変更させ,ネットワーク全体ではなく障害が起きたポートの周辺のみで情報交換することにより,迅速にポートの種類を決定するBPDU2の仕組みを採用している。BPDU2では,以下のフラグが設定できる。
- トポロジチェンジ:トポロジーの変化を通知
- プロポーザル:ポートの種類・プライオリティ値・パスコストなどを通知
- アグリーメント:相手が上位スイッチと認識したことを通知
結果として,RSTPでは以下の三つのポート状態が存在する。
- ディスカーディング:必要に応じてBPDUを送受信するのみ
- ラーニング:流れるトラフィックからMACアドレスを学習
- フォワーディング:データ転送
STPと比べて,ブロッキングとリスニングがディスカーディングにマージされている。待ち時間の設定はSTPと同様である一方で,ポートの種類を周りのポートとBPDUのフラグを通じて情報交換することで決定するため,ネットワーク全体から定めるSTPと比べて高速にフォワーディング状態に遷移することが可能になる。
リンクアグリゲーションの目的を二つ述べよ
- 帯域拡大
- 冗長化
スイッチとサーバを冗長化する技術について述べよ
- スイッチ:リンクアグリゲーション
- サーバ:チーミング
なお,スイッチの各ポートはMACアドレスを持たず,サーバのNICはMACアドレスを持つという違いがある。
VLANごとにSTPを構成するためには何で規定されている何というプロトコルを使うか
IEEE802.1sで規定されているMSTP(Multiple STP)
二台のL2SWを冗長化する方法を二つ述べよ
- STPを動作させてブロックポートを設ける
- リンクアグリゲーションで単一のリンクとして扱う
接続先ポートの受信不可状態を自動判別して自装置からの送信を止めるプロトコルはなにか
スパニングツリープロトコル
RSTPの弱点とその克服方法を説明せよ
冗長化した複数の経路のうち,一つの経路にトラフィックが偏ってしまうこと。MSTP(Multiple STP)では,VLANをインスタンスというグループにまとめ,それぞれRSTPによって冗長化することでトラフィックを分散させることができる。
L2デバイス
MACアドレスの特性からフォワーディングテーブルにおける注意点を述べよ
IPアドレスとは異なりMACアドレスには階層性がないため,フォワーディングテーブルのエントリがデータリンク内に存在する機器の数だけ必要になること。
スイッチの二つの転送方式を述べよ
ストア&フォワード方式とカットスルー方式。前者はフレームのFCSをチェックしてから転送を行う一方で,後者は送信先のMACアドレスが分かり次第転送を開始する。
PoEの規格を述べよ。また二つの形式について説明せよ
規格 | 最大供給電力 | 名称 |
---|---|---|
IEEE 802.3af | 15.4W | PoE |
IEEE 802.3at | 30W | PoE+ |
IEEE 802.3bt | 90W | PoE++ |
有線LANは802.3,無線LANは802.11であるため,802.3であることまでは理解できるが,af/at/btは覚えるしかない。まずはaを固定したアルファベット順でf<tなので消費電力もaf<at,次にtを固定したアルファベット順でa<bなので消費電力もat<btと覚える。
- TypeA:通信で利用しているRJ45コネクタの1,2,3,6番で電源を供給
- TypeB:通信で利用していないRJ45コネクタの4,5,7,8番で電源を供給
スイッチで学習するのは送信元MACアドレスと宛先MACアドレスのどちらか
送信元MACアドレス
スイッチングハブにはMACアドレスは必要か
不要である。一方で,管理用にスイッチングハブにIPアドレスを設定する場合があり,そのときにはMACアドレスが設定される。
コリジョンドメインとブロードキャストドメインを分割するものはそれぞれなにか
- コリジョンドメイン:スイッチングハブ
- ブロードキャストドメイン:VLAN
DHCPスヌーピングの機能を二つ答えよ
- 正規のDHCPサーバが接続されるポートを指定する機能
- 正規のDHCPサーバからIPアドレスを割り当てたPCだけを通信させる機能
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