本記事では,数学検定1級で頻出のトピックについてまとめていきます。
初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。
目次
級数の形から想起するべきマクローリン展開
\begin{alignat}{2}
& 1 + x + \frac{x^{2}}{2!} + \cdots &&= e^{x}\\[0.7em]
& x - \frac{x^{2}}{2} + \frac{x^{3}}{3} - \cdots &&= \log(1+x)\\[0.7em]
& x - \frac{x^{3}}{3!} + \frac{x^{5}}{5!} - \cdots &&= \sin x\\[0.7em]
& 1 - \frac{x^{2}}{2!} + \frac{x^{4}}{4!} - \cdots &&= \cos x\\[0.7em]
& x + \frac{x^{3}}{3} + \frac{2x^{5}}{15} + \cdots &&= \tan x
\end{alignat}
& 1 + x + \frac{x^{2}}{2!} + \cdots &&= e^{x}\\[0.7em]
& x - \frac{x^{2}}{2} + \frac{x^{3}}{3} - \cdots &&= \log(1+x)\\[0.7em]
& x - \frac{x^{3}}{3!} + \frac{x^{5}}{5!} - \cdots &&= \sin x\\[0.7em]
& 1 - \frac{x^{2}}{2!} + \frac{x^{4}}{4!} - \cdots &&= \cos x\\[0.7em]
& x + \frac{x^{3}}{3} + \frac{2x^{5}}{15} + \cdots &&= \tan x
\end{alignat}
解説
問題を解く中で級数が登場した場合は,有名関数のマクローリン展開で表すことができないかを考える癖をつけましょう。特に上で挙げた関数のマクローリン展開は頻出ですので,左辺から右辺が思い浮かべられるようにしておきたいです。
補足
双曲線関数のマクローリン展開は,$e^{x}$のマクローリン展開から,
\begin{align}
\sinh &= x + \frac{x^{3}}{3!} + \frac{x^{5}}{5!} + \cdots\\[0.7em]
\cosh &= 1 + \frac{x^{2}}{2!} + \frac{x^{4}}{4!} + \cdots
\end{align}
\sinh &= x + \frac{x^{3}}{3!} + \frac{x^{5}}{5!} + \cdots\\[0.7em]
\cosh &= 1 + \frac{x^{2}}{2!} + \frac{x^{4}}{4!} + \cdots
\end{align}
のように簡単に導出することができます。また,
\begin{align}
\sin ix &= i\sinh x\\[0.7em]
\cos ix &= \cosh x\\[0.7em]
\end{align}
\sin ix &= i\sinh x\\[0.7em]
\cos ix &= \cosh x\\[0.7em]
\end{align}
より,
\begin{align}
\tan ix &= i\tanh x
\end{align}
\tan ix &= i\tanh x
\end{align}
となるため,
\begin{align}
\tanh x &= \frac{\tan ix}{i} = \frac{1}{i}\left\{(ix) + \frac{(ix)^{3}}{3} + \frac{2(ix)^{5}}{15} + \cdots \right\}
= x - \frac{x^{3}}{3} + \frac{2x^{5}}{15} - \cdots
\end{align}
\tanh x &= \frac{\tan ix}{i} = \frac{1}{i}\left\{(ix) + \frac{(ix)^{3}}{3} + \frac{2(ix)^{5}}{15} + \cdots \right\}
= x - \frac{x^{3}}{3} + \frac{2x^{5}}{15} - \cdots
\end{align}
のように導出することができます。
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