【数検1級対策】二重積分と積分領域の交換

本記事では,数学検定1級で頻出のトピックについてまとめていきます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

目次

二重積分と積分領域の交換

二重積分

\begin{align}
J &= \iint_{D}f(x,y)dxdy
\end{align}

において,領域$D$が次のように$2$通りで表せるとする。

\begin{align}
&\{(x,y)\mid a\leq x\leq b,~\varphi_{1}(x)\leq y\leq \varphi_{2}(x)\}\\[0.7em]
&\{(x,y)\mid \psi_{1}(y)\leq x\leq \psi_{2}(y),~c\leq y\leq d\}
\end{align}

このとき,関数$f(x,y)$が領域$D$上で連続ならば

\begin{align}
J
&= \int_{a}^{b}\left\{\int_{\varphi_{1}(x)}^{\varphi_{2}(x)}f(x,y)dy\right\}dx
= \int_{c}^{d}\left\{\int_{\psi_{1}(y)}^{\psi_{2}(y)}f(x,y)dx\right\}dy
\end{align}

のように積分順序を交換できる。

積分が簡単になる順序をよく検討する必要があります。

覚え方

後に動かしたい変数を定数で挟み,先に動かしたい変数を後に動かしたい変数で挟むイメージです。

具体例

次の二重積分の値を求めよ。

\begin{align}
\iint_{D}e^{y^{2}}dxdy,\quad D:x\leq y\leq 2,~0\leq x\leq 2
\end{align}

解答

被積分関数は$y$の関数であるため,$x$から先に積分するように領域$D$を表します。具体的には,

\begin{align}
D:0\leq x\leq y,~0\leq y\leq 2
\end{align}

と表せます。

実際は絵を描いて変換すると分かりやすいです。

領域$D$上で$f(x,y)$は連続であるため,

\begin{align}
\iint_{D}e^{y^{2}}dxdy
&= \int_{0}^{2}\left\{\int_{0}^{y}e^{y^{2}}dx\right\}dy
= \int_{0}^{2}ye^{y^{2}}dy
= \frac{1}{2}\left[e^{y^{2}}\right]_{0}^{2} = \frac{1}{2}(e^{4}-1)
\end{align}

となります。

補足

三重積分以上は「絵を描いて積分領域を工夫する」ことが難しいため,機械的に積分できるような問題が出題されることがほとんどです。例えば,

\begin{align}
\iiint_{D}xyz~dxdydz,\quad D:x+y+z\leq a,~x\geq 0,~y\geq 0,~z\geq 0
\end{align}

は$x,y,z$に関してそれぞれ対称であるため,どの順序で積分しても計算の煩雑さは変わりません。$z$から動かすとした場合は$x,y$を固定して$0{\leq}z{\leq}a{-}x{-}y$で動かし,次に$y$は$x$を固定して$0{\leq}y{\leq}a{-}x$で動かし,最後に$x$を$0{\leq}x{\leq}a$で動かせばよいです。つまり,

\begin{align}
\int_{0}^{a}\int_{0}^{a-x}\int_{0}^{a-x-y}xyz~dxdydz
\end{align}

と計算します。

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