【数検1級対策】グラム・シュミットの直交化法とその具体例

本記事では,数学検定1級で頻出のトピックについてまとめていきます。

初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

グラム・シュミットの直交化法とその具体例

線形独立なベクトルが与えられたときに,ある1つのベクトルを基準とし,次々と直交基底を構成するアルゴリズムをグラム・シュミットの直交化法という。具体的には,既に基底として選ばれているベクトルと同じ方向の成分を除いたベクトルを新たに基底を構成するベクトルとして追加していくアルゴリズムである。

線形独立なベクトルをa1,,arとおくと,

(1){a1=a1,u1=a1|a1|a2=a2(a2u1)u1,u2=a2|a2|ar=ar(arur1)(aru1)u1,ur=ar|ar|

として得られるu1,,urが,a1,,arの張る部分空間の正規直交基底である。

内積は正射影の長さを表しますので,内積を引くことが「既に基底として追加されているベクトルと同じ方向の成分を除く」という操作に相当します。

具体例

次のベクトルによって張られるベクトル空間の正規直交基底を求めよ。

(2)a1=(1,2,1)T,a2=(2,1,2)T,a3=(3,1,1)T

解答

最初に基底として追加するベクトルは,

(3)u1=a1|a1|=66(1,2,1)T

となります。次に,

(4)a2=a2(a2u1)u1=(2,1,2)T{(2,1,2)T66(1,2,1)T}66(1,2,1)T(5)=(2,1,2)T(1,2,1)T=(1,1,1)T

となるため,基底として追加するベクトルは,

(6)u2=a2|a2|=33(1,1,1)T

となります。最後に,

(7)a3=a3(a3u1)u1(a3u2)u2=(3,1,1)T{(3,1,1)T66(1,2,1)T}66(1,2,1)T(8){(3,1,1)T33(1,1,1)T}33(1,1,1)T(9)=(3,1,1)T(1,2,1)T(1,1,1)T=(1,0,1)T

となるため,基底として追加するベクトルは,

(10)u3=a3|a3|=22(1,0,1)T

となります。以上より,求める答えは

(11)66(1,2,1)T, 33(1,1,1)T, 22(1,0,1)T

となります。

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