北川 博之著「データベースシステム(オーム社)」を参考に,データベースシステムの知識をまとめます。
結合従属性の定義
リレーションスキーマ$RS$とその分解$\rho=\{RS_{1},\cdots,RS_{n}\}$が与えられたとき,$RS$の任意のインスタンス$R$において,
\begin{align}
R &= \pi_{RS_{1}}\Join\cdots\Join\pi_{RS_{n}}
\end{align}
R &= \pi_{RS_{1}}\Join\cdots\Join\pi_{RS_{n}}
\end{align}
が成立するとき,結合従属性$\ast(RS_{1},\cdots,RS_{n})$が成り立つといいます。ただし,$\Join$は自然結合を表します。
後述の通り,結合従属性は多値従属性の一般化となっています。
補足1
$n=2$の場合は,二つのリレーションスキーマに対する無損失結合分解の定義そのものになります。これは,無損失結合分解の必要十分条件を多値従属性に拡張したものと等価になります。したがって,無損失結合分解の定義をバイパスとして,$n=2$の結合従属性と多値従属性が等価となることが示されます。言葉を変えると,結合従属性は多値従属性の一般化となります。このことは,リレーションスキーマの第五正規形が第四正規形の拡張(制約を強めた正規形)になっていることと矛盾しません。
補足2
$RS_{1},\cdots,RS_{n}$の中に,分解前のリレーションスキーマ$RS$が含まれる場合は,自然結合して$RS$となることは自明です。このような結合従属性を自明な結合従属性と呼びます。
コメント