【数検1級対策】これで十分。微分方程式の総まとめ!

zuka

こんにちは。
zuka(@beginaid)です。

本記事では,数学検定1級で頻出の微分方程式についてまとめていきます。

本記事では初学者の分かりやすさを優先するため,多少正確でない表現が混在することがあります。もし致命的な間違いがあればご指摘いただけると助かります。

分類

要点まとめシートでは抽象的なレイヤーで微分方程式の分類をしています。ここでは,実際に問題を解いていくことを目的としています。

問題一覧

以下の微分方程式を解きなさい。ただし,初期条件は与えないため,適切な定数項を設定しなさい。

  • $x(y+1) y^{\prime} = y $
  • $y^{\prime} = (x + y)^2$
  • $(7x + 4y)y^{\prime} = -8x -5y$
  • $(x^2 + a^2)y^{\prime} + xy = 1\quad(a > 0)$
  • $xy^{\prime} + y = y^2 \log x$
  • $(3x^2 + \cos y)dx + (2y – x\sin y)dy = 0$
  • $(y + \log x)dx + x\log x dy = 0$
  • $y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y = 0$
  • $y^{\prime\prime} + 4y = 0$
  • $y^{\prime\prime} – 2y^{\prime} + 4y = 0$
  • $y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y = x^{2}$
  • $y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y = \sin x$
  • $y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y = e^{x}$
  • $y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y = e^{x} x^2$
  • $y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y = e^{x} \sin x$
  • $y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} = x^2$
  • $y^{\prime\prime} = x^2$
  • $y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y = e^{-x}$
  • $y^{\prime\prime} + 4y = e^{-2x}$
  • $y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y = e^{-x} x^2$
  • $y^{\prime\prime} + 4y = e^{-2x} x^2$
  • $y^{\prime\prime} + 4y = \sin -2x$
  • $y^{\prime\prime} – 2y^{\prime} + 4y = e^{-x} \sin \sqrt{3}x$
  • $x^2 y^{\prime\prime} – 3xy^{\prime} + 4y = x^2\log x\;(x > 0)$

解答

問題は上から微分方程式の典型パターンごとに並んでいます。

  • 変数分離形
  • 1階同次形微分方程式
  • 1階非同次線形微分方程式
  • ベルヌーイの微分方程式
  • 完全微分方程式
  • 2階同次線形微分方程式
  • 定数係数2階非同次線形微分方程式
  • 変数係数2階非同次線形微分方程式(オイラーの微分方程式)

以下では,上から順番にそれぞれの微分方程式の解き方を丁寧に説明していきます。少々長いですが,これらをおさえておくことで堅実に数検1級を攻略することができます。

変数分離形

最も基本的な微分方程式の形が変数分離形です。その中でも,主に2つのバリエーションがあります。

  1. $y^{\prime} = P(x)Q(y)$の形
  2. $y^{\prime} = f(ax + by + c)$の形

\begin{align}
y^{\prime} &= \frac{y}{x(y+1)}
\end{align}

は1.のパターンです。以下のように式変形して解いていきます。$y \neq 0$のとき,

\begin{align}
\frac{y+1}{y}\frac{dy}{dx} &= \frac{1}{x} \\[0.7em]
\int \left( 1 + \frac{1}{y} \right) \frac{dy}{dx} dx &= \int \frac{1}{x} dx \\[0.7em]
y + \log |y| &= \log |x| + C_1 \\[0.7em]
\log |ye^{y}| &= \log |e^{C_1}x| \\[0.7em]
ye^y &= Cx\quad(e^{C_1}=C)
\end{align}

また,$y=0$も解となりますが,これは$C=0$のときに相当します。したがって,$ye^y = Cx$が求める解です。

変数分離型の記述問題では$1/x$の積分を考えるときに絶対値を忘れないようにしましょう。$\log$の中身は必ず正でなくてはなりません。


次の問題に移りましょう。

\begin{align}
y^{\prime} &= (x + y)^2
\end{align}

は2.のパターンです。$x+y=u$とおいて変数分離型に帰着させましょう。$x+y=u$の両辺を$x$で微分すると,

\begin{align}
\frac{dy}{dx} &= \frac{du}{dx} – 1
\end{align}

となります。こいつを元の式に代入します。

\begin{align}
\frac{du}{dx} – 1 &= u^2 \\[0.7em]
\frac{1}{1 + u^2}\frac{du}{dx} &= 1 \\[0.7em]
\int \frac{1}{1 + u^2} du &= \int 1 dx \\[0.7em]
\arctan u &= x + C \\[0.7em]
u &= \tan (x + C) \\[0.7em]
y &= \tan(x + C) – x
\end{align}

したがって,$y = \tan(x + C) – x$が求める解です。なお,途中で$\tan$の逆関数を利用しました。逆三角関数については「【数検1級対策】逆関数まとめ」ページをご参照ください。

1階同次形微分方程式

以下の形の微分方程式を同次形微分方程式と呼び,$y/x=u$もしくは$x/y=u$と置くことで変数分離形に帰着させることができます。

\begin{align}
\frac{dy}{dx} &= f\left( \frac{y}{x} \right) \\[0.7em]
\frac{dy}{dx} &= f\left( \frac{x}{y} \right)
\end{align}

実際に問題を解いてみましょう。

\begin{align}
(7x + 4y)y^{\prime} &= -8x -5y \\[0.7em]
\left(7 + 4\frac{y}{x}\right)y^{\prime} &= -8 -5\frac{y}{x}
\end{align}

ここで,$y/x=u$とおくと,

\begin{align}
\frac{dy}{dx} &= \frac{d}{dx}(xu) \\[0.7em]
&= u + x\frac{du}{dx}
\end{align}

となりますので,先ほどの方程式は以下のように変数分離形に帰着させることができます。

\begin{align}
\left(7 + 4\frac{y}{x}\right)y^{\prime} &= -8 -5\frac{y}{x} \\[0.7em]
(7 + 4u) \left( u + x\frac{du}{dx} \right) &= -8 -5u \\[0.7em]
-\frac{1}{4}\frac{4u + 7}{(u+1)(u+2)}\frac{du}{dx} &= \frac{1}{x} \\[0.7em]
-\frac{1}{4}\left(\frac{3}{u+1} + \frac{1}{u+2} \right) \frac{du}{dx} &= \frac{1}{x} \\[0.7em]
\log |u+1|^3 + \log |u+2| &= \log |x|^{-4} + C_1\\[0.7em]
\log |u+1|^3 \cdot |u+2| &= \log |x^{-4} e^{C_1}| \\[0.7em]
(u+1)^3 (u+2) &= x^{-4} e^{C_1} \\[0.7em]
\left\{ x(u+1) \right\}^3 \left\{ x(u+2) \right\} &= C \quad(C=e^{C_1}) \\[0.7em]
(x+y)^3(2x+y) &= C
\end{align}

1階非同次線形微分方程式

1階非同次線形微分方程式は,2階非同次線形微分方程式と同様の解き方でアプローチすることも可能であり,その方が体系的に理解しやすいと思うのですが,多くの参考書では異なるアプローチをとります。本記事でもそれに従います。理由としては,数検1級の範囲では2階非同次線形微分方程式では「定数係数」のケースが出題されることがほとんどです。「変数係数」が出題されたとしてもオイラーの微分方程式の形をしているものでしょう。したがって,基本的には定数変化法を用いてロンスキ―行列を持ち出す必要はないと考えておいてOKだと思います。

一方で,1階非同次線形微分方程式では,定数係数のケースはもちろん,変数係数の一般の場合も出題されます。さらに,2階非同次線形微分方程式の右辺は「多項式」「指数関数」「三角関数」の組み合わせで構成されることがほとんどですが,1階非同次線形微分方程式の右辺はそれ以外の関数も出てきます(今回の問題も分数関数が出てきています)。そうなると,定数変化法を持ち出す必要があるのですが,この対策はオーバーキルです。したがって,2階非同次微分方程式の一般的な解法(定数変化法)を1階非同次微分方程式に当てはめるという対策は数検1級においては推奨されないと思います。

そこで,1階非同次微分方程式特有の解法を身につける必要があるのですが,これはそこまで難しくありません。無理矢理「積の微分」の形を作ってあげればよいのです。1階微分で積の微分が単純な形になるからこそ採用できる解法です。具体的に見ていきましょう。1階非同次微分方程式は以下のような形をしています。

\begin{align}
\frac{dy}{dx} + P(x)y &= Q(x)
\end{align}

左辺を積の微分の形に近づけることが目標です。まず,左辺にある2つの項の両方に$y$が出現していることに注目します。第一項目は$y$を微分していて,第二項目は$y$がそのまま出現しています。これは,以下の積の微分

\begin{align}
(xy)^{\prime} &= x^{\prime}y + xy^{\prime}
\end{align}

の形にすでに似ていることが分かります。あとは,微分して$P(x)$が出てくるような関数をくっつけてあげれば積の微分の形になります。さて,微分して$P(x)$が出てくるような関数には何があるでしょうか。ここでは,微分方程式で大活躍する指数関数を利用します。$\exp{\int P(x) dx}$を考えてあえれば,$x$で微分したときに$\exp{\int P(x) dx}$はそのまま残りながらも,肩の$P(x)$が前に出てきてくれます。したがって,両辺に$\exp{\int P(x) dx}$を掛けてあげればよいことが推測できます。

\begin{align}
\frac{dy}{dx}\cdot e^{\int P(x) dx} + P(x)y\cdot e^{\int P(x) dx} &= Q(x)\cdot e^{\int P(x) dx}
\end{align}

左辺は積の微分の形に持っていくことができそうです。

\begin{align}
\frac{dy}{dx}\cdot e^{\int P(x) dx} + y\cdot P(x)e^{\int P(x) dx} &= Q(x)\cdot e^{\int P(x) dx} \\[0.7em]
\frac{dy}{dx}\cdot e^{\int P(x) dx} + y\cdot \left( e^{\int P(x) dx}\right)^{\prime} &= Q(x)\cdot e^{\int P(x) dx} \\[0.7em]
\left( ye^{\int P(x) dx} \right)^{\prime} &= Q(x) e^{\int P(x) dx}
\end{align}

両辺を$x$で積分します。

\begin{align}
\int \left( ye^{\int P(x) dx} \right)^{\prime} dx &= \int Q(x) e^{\int P(x) dx} dx \\[0.7em]
ye^{\int P(x) dx} &= \int Q(x) e^{\int P(x) dx} dx + C
\end{align}

したがって,1階非同次線形微分方程式は以下のように一般解を求めることができます。

\begin{align}
y &= e^{-\int P(x) dx} \left( \int Q(x) e^{\int P(x) dx} dx + C \right)
\end{align}

この式を覚える必要はありません。「1階非同次線形微分方程式では左辺を積の形に持っていくために指数関数を利用するんだ」ということを理解してください。それでは,問題に戻ります。

\begin{align}
(x^2 + a^2)y^{\prime} + xy &= 1\quad(a > 0) \\[0.7em]
y^{\prime} + \frac{x}{x^2 + a^2}y &= \frac{1}{x^2 + a^2} \\[0.7em]
e^{\int \frac{x}{x^2 + a^2} dx}y^{\prime} + e^{\int \frac{x}{x^2 + a^2} dx}y^{\prime}\frac{x}{x^2 + a^2}y
&= e^{\int \frac{x}{x^2 + a^2} dx} \frac{1}{x^2 + a^2} \\[0.7em]
\left(e^{\int \frac{x}{x^2 + a^2} dx}y \right)^{\prime} &= e^{\int \frac{x}{x^2 + a^2} dx} \frac{1}{x^2 + a^2} \\[0.7em]
e^{\int \frac{x}{x^2 + a^2} dx}y &= \int e^{\int \frac{x}{x^2 + a^2} dx} \frac{1}{x^2 + a^2} dx \\[0.7em]
\end{align}

ここで,

\begin{align}
e^{\int \frac{x}{x^2 + a^2} dx} &= e^{\frac{1}{2}\log (x^2 + a^2)} \\[0.7em]
&= \sqrt{x^2 + a^2}
\end{align}

と変形できます。この結果を代入すると,

\begin{align}
\sqrt{x^2 + a^2}y &= \int \frac{1}{\sqrt{x^2 + a^2}} dx
\end{align}

さて,以下の頻出の積分公式を思い出しましょう。

\begin{align}
\int \frac{1}{\sqrt{x^2 + a}} dx &= \log |x + \sqrt{x^2 + a}| + C \\[0.7em]
\end{align}

これを適用すると,

\begin{align}
\sqrt{x^2 + a^2}y &= \log |x + \sqrt{x^2 + a^2}| + C \\[0.7em]
&= \log (x + \sqrt{x^2 + a^2}) + C\quad(\because x + \sqrt{x^2 + a^2} > 0) \\[0.7em]
\therefore \; y &= \frac{1}{\sqrt{x^2 + a^2}}\left\{ \log (x + \sqrt{x^2 + a^2}) + C \right\}
\end{align}

ベルヌーイの微分方程式

左辺を非同次1階線形微分方程式の形に整理した時に,右辺に$y^k$が残ってしまうような形をベルヌーイの微分方程式と呼びます。

\begin{align}
y^{\prime} + P(x)y &= Q(x)y^k \quad (k\text{は定数で}\;k\neq 0, 1)
\end{align}

この微分方程式は,以下の変数変換を行うことで1階非同次線形微分方程式に帰着させることができます。

\begin{align}
z &= y^{1-k}
\end{align}

この変数変換はかなり恣意的で,覚える必要はありません。式変形を行った結果,自然と出てくる変数変換です。では,実際に「自然に出てくる」という感覚を味わってみましょう。問題の方程式を式変形して左辺を1階非同次線形微分方程式の形に変形します。

\begin{align}
xy^{\prime} + y &= y^2 \log x \quad(x \neq 0)\\[0.7em]
y^{\prime} + \frac{1}{x}y &= \frac{\log x}{x} y^2
\end{align}

しかし,右辺の$y^2$が邪魔で1階非同次線形微分方程式に帰着させられませんね。そこで,$y^2$を消すために$y^{-2}$を両辺に掛けます。

\begin{align}
-y^{-2} y^{\prime} – \frac{1}{x}y^{-1} &= -\frac{\log x}{x}
\end{align}

さて,ここで左辺を1階非同次線形微分方程式の形のようにキレイにすることを考えます。第一項目と第二項目の$y$の指数に注目すると,その差は1であることが分かります。これは,ベルヌーイの微分方程式では必ずそうなります。なぜなら,$y^{-2}$を両辺に掛ける前に左辺は1階非同次微分方程式の形に整理されていましたので,第一項目は$y$に関する項は出現しておらず,第二項目には$y$に関する項が出現しているからです。

$y$の指数の差が$1$であることに注目すると,べき乗の微分の性質を利用すればよいことが思いつくはずです。$x^m$を微分すると$mx^{m-1}$になりますよね。肩の数字が1減ります。この性質を利用すればよいのです。このとき,微分前の変数は肩の数字が大きい方に設定してあげる必要があります。肩の数字が減るんですからね。ですので,今回は$z = y^{-1}$とおいてあげることで,左辺をキレイな形にしてあげることができるのです。ためしに,$z$の微分を考えてあげましょう。

\begin{align}
\frac{dz}{dx} &= \frac{dz}{dy}\frac{dy}{dx} \\[0.7em]
&= \frac{d}{dy}(y^{-1}) \frac{dy}{dx} \\[0.7em]
&= – y^{-2} \frac{dy}{dx}
\end{align}

これは第一項目そのものですね。つまり,$z = y^{-1}$とおくことで,以下のような式変形ができるのです。

\begin{align}
-y^{-2} y^{\prime} – \frac{1}{x}y^{-1} &= -\frac{\log x}{x} \\[0.7em]
z^{\prime} – \frac{1}{x}z &= -\frac{\log x}{x}
\end{align}

となります。これは,1階非同次微分方程式に他なりません。先ほどと同様の手続きにより,以下の解答を得ることができます。

\begin{align}
y &= \frac{1}{Cx + \log x + 1},\; y = 0
\end{align}

ベルヌーイの微分方程式では$y^{-k}$という形が出てきますから,$y=0$も解を満たすかどうかのチェックは必ず行ってください。忘れてしまう人が多いと思いますので,注意してください。

完全微分方程式

完全微分方程式は他の典型的な微分方程式とは少し毛色が異なります。式の形が「○○$dx+$○○$dy=0$」となっていることが特徴的ですよね。完全微分方程式は,以下のような形をしています。

\begin{align}
F_x(x, y) dx + F_y(x, y)dy &= 0
\end{align}

左辺は関数$F(x, y)$の全微分と呼ばれています。 関数$F(x, y)$の全微分というのは,関数$F(x, y)$の一次近似のことを表していて,特に二変数関数の全微分は接平面を表しています。

全微分は関数$F(x, y)$の微小変化量を表していますので,以下のようにかけます。

\begin{align}
dF &= F_x(x, y) dx + F_y(x, y)dy \\[0.7em]
&= 0
\end{align}

$F$を微分して$0$になるということは,$F$は定数でなくてはいけません。したがって,一般解は以下のような形になります。

\begin{align}
F(x, y) &= C
\end{align}

問題となるのは,与えらえた微分方程式が完全微分方程式であるかどうかの判定です。もしくは,完全微分方程式でない場合にどのように完全微分方程式に変身させるのかです。まずは前者,つまり与えられた微分方程式が完全微分方程式であるかどうかの判断方法をお伝えしていきます。まず,微分方程式を整理すると,$y$の一階微分に関して以下の関係式が得られたとします。

\begin{align}
\frac{dy}{dx} &= -\frac{P(x, y)}{Q(x, y)}
\end{align}

この仮定は疑う余地がありません。逆に言えば,このような形にならない微分方程式は完全微分方程式の範疇ではありません。さて,こちらの式を変形してみましょう。

\begin{align}
P(x, y)dx + Q(x, y)dy &= 0
\end{align}

もしこの方程式が完全微分方程式(完全形)であれば先ほどと同じ手続きで解くことができます。「この微分方程式が完全形」という状況をまとめておきましょう。

$P(x, y)dx + Q(x, y)dy = 0$が完全形

$F_x(x, y)=P(x, y)$かつ$F_y(x, y)=Q(x, y)$(条件*)となる$F(x, y)$が存在すること

さて,条件*を満たすような$F(x, y)$の存在判定はどのように行えばよいのでしょうか。少し天下り的ですが,そのためには以下の定理を利用すると非常に便利です。

条件*を満たす$F(x, y)$が存在するための必要十分条件は

\begin{align}
P_y(x, y) &= Q_x(x, y)
\end{align}

が成り立つことである。

この定理の証明は難しくないのですが,今回は厳密な証明は行わず,実際に$P_y(x, y) = Q_x(x, y)$を満たす場合に$F(x, y)$が存在することを確認することで定理の有難さを実感するにとどめましょう。

まず,条件*から出発しましょう。繰り返しますが,私たちの目的は条件*を満たす$F$を探し出すことです。条件*自体を式変形していく中で,もし上記必要十分条件が成り立っているとすれば,うまく$F(x, y)$を見つけられることを確認します。条件*の前半部分$F_x=P$より

\begin{align}
F_x(x, y) &= P(x, y)
\end{align}

が得られます。両辺を$x$で積分すると

\begin{align}
F(x, y) &= \int P(x, y)dx + G(y)
\end{align}

となります。私たちの目的は,$F(x, y)$を求めることでしたので,上の式から$G(y)$を求めることができれば$F(x, y)$も計算できることが分かります。まだ使っていない条件*の後半部分$F_y=Q$に代入すると,

\begin{align}
\frac{dG(y)}{dy} &= Q(x, y) – \frac{\partial}{\partial y} \int P(x, y) dx\\[0.7em]
\therefore\; G(y) &= \int \left\{ Q(x, y) – \frac{\partial}{\partial y}\int P(x, y)dx \right\}dy
\end{align}

となります。さて,右辺の積分の中身に注目しましょう。先ほどの必要十分条件は,実はこの積分の中身で「$x$を含む項が消えるように」設定された条件なのです。実際に,積分の中身を$x$で偏微分してあげると$0$になることが確認できます。

\begin{align}
\frac{\partial}{\partial x} \left\{ Q(x, y) – \frac{\partial}{\partial y}\int P(x, y)dx \right\}
&= \frac{\partial}{\partial x} \left\{ Q(x, y) – \int \frac{\partial}{\partial y} P(x, y)dx \right\} \\[0.7em]
&= \frac{\partial}{\partial x} \left\{ Q(x, y) – \int P_y(x, y)dx \right\} \\[0.7em]
&= Q_x(x, y) – P_y(x, y) \\[0.7em]
&= 0\quad(\because\;\text{必要十分条件より})
\end{align}

なお,途中で積分と偏微分$\partial /\partial y$の順序交換をしましたが,これは$P(x, y)$が$x$と$y$に関して連続で$y$について微分可能という前提がないと許されない式変形です。ですので,$P(x, y)$があまりにも変な関数の場合は今回の議論を適用できないのですが,私たちが問題で解く微分方程式としては$P(x, y)$が$x$と$y$に関して連続で$y$について微分可能であるという仮定を置いても十分価値のある議論になります。

さて,話を元に戻します。$x$で偏微分して$0$になるということは,偏微分する前の関数には$x$が含まれていなかったということです。見方を変えると,$Q(x, y)$のうち$x$を含む項は$\frac{\partial}{\partial y}\int P(x, y)dx$から出てくる項によって相殺されてしまうということなのです。したがって,$G(y)$は$\int Q(x, y)dy$のうち$x$を含まない項とすることができます。

完全微分方程式の解き方をまとめておきます。

  • $I = \int P(x, y)dx$と$J = \int Q(x, y)dy$を計算する
  • $J$の項のうち$x$を含まない項を$I$に加えたものが全微分の$F(x, y)$になる
    ($I$の項のうち$y$を含まない項を$J$に加えたものが全微分の$F(x, y)$になる)
  • 一般解は$F(x, y)=C$になる

解き方の中でややこしいのは,$x$を含まないのか$y$を含まないのかという部分ですよね。これは,先ほどの確認作業をもう一度追って見れば分かる話だと思うのですが,なかなか面倒くさいですよね。そこで,以下のようなイメージで対照的に覚えておくと便利かもしれません。

  • 与えられた微分方程式が完全形かどうかを判別する必要十分条件はクロス
    ($P$は$y$で微分して$Q$は$x$で微分する)
  • $F(x, y)$の求め方はそのまま
    ($P$を$x$で積分したものに$Q$を$y$で積分したもののうち$y$のみを含む項を加える)

もしくは,

\begin{align}
F(x, y) &= \int P(x, y)dx + G(y) \\[0.7em]
F(x, y) &= \int Q(x, y)dy + H(x)
\end{align}

という$F(x, y)$の候補を2つとも計算して,その結果を比較して$G(y)$と$H(x)$を求める方法でも解くことができます。ただし,$\int P dx$や$\int Q dy$を計算する際は積分定数はなくてもよいです。これらの式は,微分方程式が完全形のときは「$P(x, y)$が$F_x$,$Q(x, y)$が$F_y$を表していること」を思い出せば自然と出てくる式です。

ここまできて疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。そもそも与えられた式が完全形でなかったらどうするのだと。そのような場合は,積分因子と呼ばれる関数$\lambda(x, y)$を両辺に掛けることで無理矢理完全形にするのが定石です。ただし,そのような積分因子を一般的に求めるのは困難なので,ほとんどの場合$\lambda(x, y)$を見つけやすいような$P(x, y)$,$Q(x, y)$が与えられていることがほとんどです。

与えられた式が完全形でない場合を考えます。このとき,両辺に$\lambda(x, y)$を掛けます。

\begin{align}
P(x, y)\lambda(x, y)dx + Q(x, y)\lambda(x, y) dy &= 0
\end{align}

この微分方程式が完全形である必要十分条件は以下の通りです。

\begin{align}
\frac{\partial}{\partial y}\left\{ P(x, y)\lambda(x, y) \right\} &= \frac{\partial}{\partial y}\left\{ Q(x, y)\lambda(x, y) \right\} \\[0.7em]
P_y\lambda + P\lambda_y &= Q_x\lambda + Q\lambda_x \label{積分因子の条件}
\end{align}

この式($\ref{積分因子の条件}$)を満たす$\lambda(x, y)$を見つけ出すのは大変です。しかし,与えられた式($\ref{積分因子の条件}$)が完全形でない場合のほとんどはこの式を満たす$\lambda(x, y)$が簡単に見つかります。というのも,以下の2パターンが出題されることが多いからです。

  • $\lambda_x = 0$かつ$(Q_x – P_y) / P = G(y)$の(つまり$x$の項を含まない)ケース
  • $\lambda_y = 0$かつ$(P_y – Q_x) / Q = H(x)$の(つまり$y$の項を含まない)ケース

この2つのケースは覚える必要はありません。理解するべきは,積分因子を一般的に求めることが難しいとなったときに,真っ先に「$\lambda_x=0$か$\lambda_y=0$だったら嬉しいなあ」と思えるかということ,そしてそれぞれを適用した場合に追加で欲しい条件,つまり前者は$(Q_x – P_y) / P = G(y)$で後者は$(P_y – Q_x) / Q = H(x)$を計算できるかということに尽きます。

$\lambda_x = 0$かつ$(Q_x – P_y) / P = G(y)$のケースでは,式($\ref{積分因子の条件}$)は以下のようになります。

\begin{align}
P_y\lambda + P\lambda_y &= Q_x\lambda \\[0.7em]
\frac{d\lambda}{dy} &= \frac{Q_x – P_y}{P}\lambda \\[0.7em]
\frac{d\lambda}{dy} &= \frac{G(y)}{P}\lambda \\[0.7em]
\int \frac{1}{\lambda} d\lambda &= \int G(y) dy \\[0.7em]
\log |\lambda| &= \int G(y) dy \\[0.7em]
\lambda &= e^{\int G(y)dy}
\end{align}

結局,最後は変数分離形の微分方程式に帰着しました。ただし,実際に$\int G(y)dy$を計算する場合には積分定数は必要ないことも把握しておきましょう。$\lambda_y = 0$かつ$(P_y – Q_x) / Q = H(x)$のケースでは,同様に式($\ref{積分因子の条件}$)は以下のようになります。

\begin{align}
P_y\lambda &= Q_x\lambda + Q\lambda_x \\[0.7em]
\lambda &= e^{\int H(x)dx}
\end{align}

こちらも,最後は変数分離形の微分方程式に帰着しました。ただし,実際に$\int H(x)dx$を計算する場合には積分定数は必要ないことも把握しておきましょう。このような特別な場合に限り,積分因子が簡単に求められるんですね。

問題を解くうえで意識したいのは,与えられた微分方程式が完全形でない場合に,どちらのケースで解くことを求められているのかという部分です。数検1級の範疇では,(変数分離や同次形,非同次線形微分方程式で解けそうにないという前提の下で)完全形でなく,かつどちらのケースでもない問題はほぼ出題されないものと思われます。


さて,実際に問題を解いてみましょう。例題では最初から完全形のものと完全形でないものの両方がありました。まずは,最初から完全形の微分方程式を解いてみたいと思います。

\begin{align}
(3x^2 + \cos y) dx &= (2y – x\sin y) dy
\end{align}

この微分方程式では,$(3x^2 + \cos y)_y = (2y – x\sin y)_x = -\sin y$という関係式が成り立っており,これは与えられた微分方程式が完全形であることの必要十分条件でした。今回は,$F(x, y)$の候補を2つとも計算して,その結果を比較して$G(y)$と$H(x)$を求める方法で解いていきたいと思います。

\begin{align}
F(x, y) &= \int P(x, y)dx + G(y) \\[0.7em]
&= x^3 + x\cos y + G(y)\quad(\because\;\text{積分定数は省略できる}) \\[0.7em]
F(x, y) &= \int Q(x, y)dy + H(x) \\[0.7em]
&= y^2 + x\cos y + H(x)\quad(\because\;\text{積分定数は省略できる})
\end{align}

2つの式の比較により,

\begin{align}
G(y) &= y^2 \\[0.7em]
H(x) &= x^3
\end{align}

が分かります。したがって,求める解は以下です。

\begin{align}
F(x, y) &= x^3 + x\cos y + y^2 \notag \\[0.7em]
&= C
\end{align}


続いて,与えられた微分方程式が完全形でないケースを考えます。

\begin{align}
(y + \log x)dx + x\log x dy &= 0
\end{align}

$(y + \log x)_y \neq (x\log x)_x$であることから,この方程式は完全形ではありません。そこで,積分因子を掛けることで完全形に無理矢理変形することを考えます。成り立っていてくれたら嬉しい2つの仮定として,$\lambda_x=0$と$\lambda_y=0$がありました。それぞれの仮定で$P(x, y)$と$Q(x, y)$が満たしていて欲しい条件が変わってきますから,まずはそれを思い出します。$\lambda_x=0$のときは,完全形の必要十分条件より

\begin{align}
P_y\lambda + P\lambda_y &= Q_x \lambda \\[0.7em]
\lambda_y &= \frac{Q_x – P_y}{P} \lambda
\end{align}

となり,$(Q_x – P_y) / P$が$y$だけの関数になってくれていれば変数分離形として積分因子を求めることができます。実際に確認してみましょう。

\begin{align}
\frac{Q_x – P_y}{P} &= \frac{(\log x + 1) – 1}{y + \log x}
\end{align}

これは,残念ながら$x$の項が残ってしまいました。それでは,$\lambda_y=0$のケースを考えてみましょう。

\begin{align}
P_y\lambda &= Q_x\lambda + Q\lambda_x \\[0.7em]
\lambda_x &= \frac{P_y – Q_x}{Q}\lambda \\[0.7em]
\end{align}

$(P_y – Q_x) / Q$が$x$だけの関数になっていれば変数分離形として積分因子を求めることができます。こちらも確認してみましょう。

\begin{align}
\frac{P_y – Q_x}{Q} &= \frac{1 – (1 + \log x)}{x\log x} \\[0.7em]
&= -\frac{1}{x}
\end{align}

無事,$x$だけの関数になりました。したがって,積分因子は以下の通りになります。

\begin{align}
\lambda_x &= -\frac{1}{x}\lambda \\[0.7em]
\int \frac{1}{\lambda} d\lambda &= -\int \frac{1}{x} dx \\[0.7em]
\log |\lambda| &= -\log |x| \quad(\because\;\text{積分定数は省略できる})\\[0.7em]
\lambda &= \frac{1}{x}
\end{align}

したがって,元の微分方程式は以下のような形になります。

\begin{align}
\frac{y + \log x}{x}dx + \log x dy &= 0
\end{align}

先ほどと同様に$F(x, y)$の候補を2つとも計算して,お互いを比較して$G(y)$と$H(x)$を求める方針でいきます。

\begin{align}
F(x, y) &= \int P(x, y)dx + G(y) \\[0.7em]
&= y\log x + \frac{1}{2}\left(\log x\right)^2 + G(y) \quad(\because\;\text{積分定数は省略できる}) \\[0.7em]
F(x, y) &= \int Q(x, y) dy + H(x) \\[0.7em]
&= y\log x + H(x) \quad(\because\;\text{積分定数は省略できる})
\end{align}

先ほどと同様に2つの式を比較すると,求める解は以下になります。

\begin{align}
F(x, y) &= y\log x + \frac{1}{2}\left(\log x\right)^2 \notag \\[0.7em]
&= C
\end{align}

2階同次線形微分方程式

冒頭は同次線形微分方程式になっています。それぞれ「異なる実数解をもつ」「重解をもつ」「異なる複素数解をもつ」典型パターンを表しています。同次線形微分方程式が解けなければ非同次になったケースも解けませんので,必ずおさえておく必要があります。

\begin{align}
y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y &= 0 \\[0.7em]
y^{\prime\prime} + 4y &= 0 \\[0.7em]
y^{\prime\prime} – 2y^{\prime} + 4y &= 0
\end{align}

同次方程式は,特性方程式の解が実数か複素数か,もしくは重複度によって以下のように求めることができます。

  • 異なる2つの実数が解のとき:$Y = C_1e^{\lambda_1 x} + C_2e^{\lambda_2 x}$
  • 重解のとき:$Y = (C_1 + C_2 x) e^{\lambda_1 x}$
  • 虚数解をもつとき:$Y = e^{\alpha x} (C_1 \cos \beta x + C_2 \sin \beta x)$

さて,実際に解いていきましょう。それぞれの特性方程式の解は以下のようになっています。

\begin{align}
\lambda &= -1, -4 \\[0.7em]
\lambda &= -2 \\[0.7em]
\lambda &= 1 \pm \sqrt{3}i
\end{align}

したがって,同次方程式の一般解はそれぞれ以下のようになります。

\begin{align}
y &= C_1 e^{-x} + C_2 e^{-4x} \\[0.7em]
y &= (C_1 + C_2x)e^{-2x} \\[0.7em]
y &= e^{x} (C_1 \cos \sqrt{3}x + C_2\sin \sqrt{3}x)
\end{align}

初期条件が与えられていれば,定数項$C_1$,$C_2$を初期条件から求めるために上記一般解から$y^{\prime}$をそれぞれ計算するのですが,今回は定数項を残してよいとのことでしたので,ここで終了です。

次は非同次線形微分方程式になっています。最初に,非同次線形微分方程式のおさらいをしましょう。 非同次線形微分方程式は以下のような形をしていました。

\begin{align}
y^{\prime\prime} + P(x)y^{\prime} + Q(x)y &= R(x)
\end{align}

$P(x)$と$Q(x)$が定数でない場合は,オイラーの微分方程式とそれ以外に分類され,後者は定数変化法によって解を求めることができます。しかし,定数変化法は数学検定では滅多に出題されないため,今回は$P(x)$と$Q(x)$が定数である場合の非同次線形微分方程式かオイラーの微分方程式を扱うことにします。

定数係数非同次微分方程式

まず最初に扱うのは$P(x)$と$Q(x)$が定数である場合の非同次線形微分方程式です。

\begin{align}
y^{\prime\prime} + p y^{\prime} + q y &= R(x) \label{定数係数非同次微分方程式}
\end{align}

ここで,$R(x)=0$とおいた方程式は同次方程式と呼ばれています。逆に,元の方程式のように$R(x)\neq 0$であるものを非同次方程式と呼びます。さらに,非同次方程式の一般解を$y$,非同次方程式の特殊解を$Y$,同次方程式の一般解を$y_c$と置くと,以下のような関係があります。

\begin{align}
y &= y_c + Y \label{非同次方程式の解き方}
\end{align}

つまり,非同次方程式の一般解を求めたければ,特殊解$Y$に同次方程式の一般解$y_c$を加えてあえれば良いのです。この関係はおまじないでも何でもないので,怖がる必要はありません。まず,式($\ref{定数係数非同次微分方程式}$)を満たす特殊解$Y$が見つかったと仮定します。これは,先ほどお伝えした「非同次方程式の解き方」で求めることができるので安心してください。

\begin{align}
Y^{\prime\prime} + p Y^{\prime} + q Y &= R(x)
\end{align}

これを非同次方程式($\ref{定数係数非同次微分方程式}$)から引くと,以下のような方程式が得られます。

\begin{align}
(y – Y)^{\prime\prime} + p (y – Y)^{\prime} q(y – Y) &= 0
\end{align}

$y – Y = z$と置きなおすと,上の式は式($\ref{定数係数非同次微分方程式}$)の同次方程式になっていることが分かります。

\begin{align}
z^{\prime\prime} + p z^{\prime} qz &= 0
\end{align}

この同次方程式の解を$y_c$とおけば,以下の関係が成り立つことが分かります。

\begin{align}
y – Y &= y_c \\[0.7em]
\Longleftrightarrow y &= y_c + Y
\end{align}

先ほどの関係式が得られましたね。

ちなみに,$y_c$は同次方程式の一般解は非同次方程式の余関数(cofunction)とも呼ばれているため,添え字に”c”が用いられています。

実際にどのように$y_c$と$Y$を求めるのかという部分についてお伝えしていきます。$y_c$は演習問題の冒頭で説明した同次方程式の解き方で求めることができます。$Y$に関しては,完全に「当てずっぽう」で定めてしまうのです。ただし,完全な当てずっぽうではなく,$R(x)$の形を吟味して「この形は最低限必要だろう」というセーフティーネットを張って$Y$を決め打ちしてしまうのです。ただし,$y_c$の形が$R(x)$とバッティングする場合には,特性方程式の重複度に応じて$x$あるいは$x^2$を$Y$に掛けなければならず,これは後半の問題で出てきます。

この「当てずっぽう」の部分が初学者にとってハードルとなり得えます。微分方程式は意外と勘に頼る場面も少なくありません。答えを見つけるために多少天下り的に関数形を定めていくというのが定石になりますので,気楽に読み進めてみらえればと思います。

さて,実際に解いていきましょう。前半は,同次方程式の一般解が$R(x)$とバッティングしていないケースになります。この場合は,同次方程式の一般解をそのまま利用することができます。

\begin{align}
y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y &= x^{2} \\[0.7em]
y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y &= \sin x \\[0.7em]
y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y &= e^{x} \\[0.7em]
y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y &= e^{x} x^2 \\[0.7em]
y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y &= e^{x} \sin x
\end{align}

それぞれの同次方程式は全て同じで,以下のようになります。

\begin{align}
y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y &= 0
\end{align}

特性方程式の解は$\lambda = -1, -4$ですので,同次方程式の一般解は以下のようになります。

\begin{align}
y_c &= C_1 e^{-x} + C_2 e^{-4x}
\end{align}

続いて,特殊解$Y$を求めていきたいと思います。 $R(x)$の形を吟味して「この形は最低限必要だろう」というセーフティーネットを張って$Y$を決め打ちしてしまうのでした。

\begin{align}
Y &= A x^2 + B x + C \\[0.7em]
Y &= A\cos x + B\sin x \\[0.7em]
Y &= Ae^{x} \\[0.7em]
Y &= e^{x} \left( Ax^2 + Bx + C \right) \\[0.7em]
Y &= e^{x} \left( A\cos x + B\sin x \right)
\end{align}

したがって,式($\ref{非同次方程式の解き方}$)に従えば,求める解は以下のようになります。

\begin{align}
Y &= C_1 e^{-x} + C_2 e^{-4x} + A x^2 + B x + C \\[0.7em]
Y &= C_1 e^{-x} + C_2 e^{-4x} + A\cos x + B\sin x \\[0.7em]
Y &= C_1 e^{-x} + C_2 e^{-4x} + Ae^{x} \\[0.7em]
Y &= C_1 e^{-x} + C_2 e^{-4x} + e^{x} \left( Ax^2 + Bx + C \right) \\[0.7em]
Y &= C_1 e^{-x} + C_2 e^{-4x} + e^{x} \left( A\cos x + B\sin x \right)
\end{align}

初期条件が与えられていれば,定数項を初期条件から求めるために上記一般解から$y^{\prime}$をそれぞれ計算するのですが,今回は定数項を残してよいとのことでしたので,ここで終了です。


後半は,同次方程式の一般解が$R(x)$とバッティングしているケースになります。

\begin{align}
y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} &= x^2 \\[0.7em]
y^{\prime\prime} &= x^2 \\[0.7em]
y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y &= e^{-x} \\[0.7em]
y^{\prime\prime} + 4y &= e^{-2x} \\[0.7em]
y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y &= e^{-x} x^2 \\[0.7em]
y^{\prime\prime} + 4y &= e^{-2x} x^2 \\[0.7em]
y^{\prime\prime} + 4y &= \sin -2x \\[0.7em]
y^{\prime\prime} – 2y^{\prime} + 4y &= e^{-x} \sin \sqrt{3}x \\[0.7em]
\end{align}

それぞれの同次方程式は以下の5種類のいずれかになります。

\begin{align}
y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} &= 0 \\[0.7em]
y^{\prime\prime} &= 0 \\[0.7em]
y^{\prime\prime} + 5y^{\prime} + 4y &= 0 \\[0.7em]
y^{\prime\prime} + 4y &= 0 \\[0.7em]
y^{\prime\prime} – 2y^{\prime} + 4y &= 0
\end{align}

それぞれの特性方程式の解は以下のようになります。

\begin{align}
\lambda &= 0, -5 \\[0.7em]
\lambda &= 0 \\[0.7em]
\lambda &= -1, -4 \\[0.7em]
\lambda &= -2 \\[0.7em]
\lambda &= -1 \pm \sqrt{3}
\end{align}

したがって,同次方程式の一般解はそれぞれ以下のようになります。

\begin{align}
y_c &= C_1 + C_2 e^{-5x} \\[0.7em]
y_c &= C_1 + C_2 x \\[0.7em]
y_c &= C_1 e^{-x} + C_2 e^{-4x} \\[0.7em]
y_c &= (C_1 + C_2x) e^{-2x} \\[0.7em]
y_c &= e^{-x}\left( C_1\cos \sqrt{3}x + C_2 \sin \sqrt{3}x \right)
\end{align}

ここまでは先ほどと全く同様の手続きなのですが,ここから変わってきます。非同次方程式の特殊解$Y$を求めるためには,$R(x)$の形を吟味して「この形は最低限必要だろう」というセーフティーネットを張って$Y$を決め打ちしてしまうのでした。このセーフティーネットの張り方に少し工夫が必要になります。

前回と同じように$Y$を定めると,それぞれ以下のようになります。

\begin{align}
Y &= Ax^2 + Bx + C \\[0.7em]
Y &= Ax^2 + Bx + C \\[0.7em]
Y &= Ae^{-x} \\[0.7em]
Y &= Ae^{-2x} \\[0.7em]
Y &= e^{-x}\left( Ax^2 + Bx + C \right) \\[0.7em]
Y &= e^{-2x}\left( Ax^2 + Bx + C \right) \\[0.7em]
Y &= A\sin 2x + B\cos 2x \\[0.7em]
Y &= e^{-x}\left( A\sin \sqrt{3}x + B\cos \sqrt{3}x \right)
\end{align}

これで一件落着かと思いきや,そうではないのです。$y_c$と$Y$に同じ項が被ってしまっているために,解を上手く求めることができないのです。特殊解の予想$Y$を同次方程式の一般解$y_c$と被らせないために,特性方程式の重複度に応じて$x$もしくは$x^2$を掛ける必要があるのです。このテクニックについては,一旦は「こうすれば上手くいくから」と理解しておけばOKです。天下り的に捉えてしまったほうが楽です。

さて,あとは特殊解の定数係数を求めるだけです。問題文では「適切な定数項を設定しなさい」とありますが,この定数項は同次方程式の一般解の定数であって,非同次方程式の特殊解の係数ではありません。ここを勘違いしてしまう人が非常に多いです。初期条件が与えられていなくても,特殊解の係数を求めることは可能です。

しかし,本記事では紙面の都合上,特殊解の係数を求める作業は割愛します。その代わりに,あとで説明するオイラーの微分方程式では,非同次線形微分方程式に帰着させた後に特殊解の係数を求めていますので,そちらをご参照ください。

実際に重複度に応じて特殊解に$x$もしくは$x^2$を掛けたものを$Y$として採用すると,結局非同次方程式の一般解$Y$は以下のように求められます。

\begin{align}
Y &= C_1 + C_2 e^{-5x} + x\cdot (Ax^2 + Bx + C) \\[0.7em]
Y &= C_1 + C_2 x + x^2\cdot (Ax^2 + Bx + C) \\[0.7em]
Y &= C_1 e^{-x} + C_2 e^{-4x} + x\cdot Ae^{-x} \\[0.7em]
Y &= (C_1 + C_2x) e^{-2x} + x^2\cdot Ae^{-2x} \\[0.7em]
Y &= C_1 e^{-x} + C_2 e^{-4x} + x\cdot e^{-x}\left( Ax^2 + Bx + C \right) \\[0.7em]
Y &= (C_1 + C_2x) e^{-2x} + x^2\cdot e^{-2x}\left( Ax^2 + Bx + C \right) \\[0.7em]
Y &= (C_1 + C_2x) e^{-2x} + x\cdot \left( A\sin 2x + B\cos 2x \right) \\[0.7em]
Y &= e^{-x}\left( C_1\cos \sqrt{3}x + C_2 \sin \sqrt{3}x \right) + x\cdot e^{-x}\left( A\sin \sqrt{3}x + B\cos \sqrt{3}x \right)
\end{align}

初期条件が与えられていれば,同次方程式の一般解の定数項$C_1$,$C_2$を求めることができるのですが,今回は初期条件が与えられていないためここで終了です。

オイラーの微分方程式

非同次線形微分方程式のうち,以下の形をしたものをオイラーの微分方程式と呼びます。

\begin{align}
x^2 y^{\prime\prime} + axy^{\prime} + by &= R(x)
\end{align}

オイラー方程式は,$x > 0$のときは$x = e^t$,$x < 0$のときは$x = -e^{t}$とおくことで,定数係数の非同次微分方程式に帰着させることができます。実際に計算してみましょう。

\begin{align}
x^2 y^{\prime\prime} – 3xy^{\prime} + 4y &= x^2\log x\;(x > 0)
\end{align}

$0 < x$ですので,$x = e^t$と置けばよいです。このとき,

\begin{align}
\frac{dy}{dx} &= \frac{dy}{dt}\frac{dt}{dx} \\[0.7em]
&= \frac{dy}{dt}\frac{1}{x} \\[0.7em]
&= \frac{dy}{dt}e^{-t} \\[0.7em]
\frac{d^2y}{dx^2} &= \frac{d}{dx}\left( \frac{dy}{dx} \right) \\[0.7em]
&= \frac{d}{dx}\left( \frac{dy}{dt}e^{-t} \right) \\[0.7em]
&= \frac{d}{dt}\left( \frac{dy}{dt}e^{-t} \right) \frac{dt}{dx} \\[0.7em]
&= \left( \frac{d^2y}{dt^2}e^{-t} – \frac{dy}{dt}e^{-t} \right)e^{-t} \\[0.7em]
&= \left( \frac{d^2y}{dt^2} – \frac{dy}{dt} \right)e^{-2t}
\end{align}

これらを元の微分方程式に代入すると,

\begin{align}
e^{2t}\cdot (y^{\prime\prime}- y^{\prime})e^{-2t} -3e^{t}\cdot y^{\prime}e^{-t} + 4y = t e^{2t}
\end{align}

ただし,$y^{\prime} = dy/dt$を表します。ここで,元々係数にかかっていた$x^2=e^{2t}$や$x=e^t$が変数変換によって消えるという部分がオイラーの微分方程式のキモです。

\begin{align}
y^{\prime\prime}- 4y^{\prime} + 4y = t e^{2t} \label{整理後のオイラー方程式}
\end{align}

無事,非同次線形微分方程式に帰着しました。ここから先は,先ほど見てきた方法で解いていけばOKです。同次方程式の特性方程式の解は$\lambda = 2$の重解で,右辺の$e^{2t}$の係数とバッティングしているパターンです。このときは,特殊解の予想系に$t^2$を掛けるのでした。よって,特殊解は以下のような形になります。

\begin{align}
Y &= t^2\cdot (At + B)e^{2t}
\end{align}

特殊解の一階微分と二階微分を計算して,先ほどは割愛していた特殊解の係数を求めます。

\begin{align}
Y^{\prime} &= \left\{ 2At^3 + (3A + 2B)t^2 + 2Bt\right\}e^{2t} \\[0.7em]
Y^{\prime\prime} &= \left\{ 4At^3 + (12A + 4B)t^2 + (6A + 8B)t\right\}e^{2t}
\end{align}

式(\ref{整理後のオイラー方程式})に代入して整理します。

\begin{align}
(6At + 2B)e^{2t} &= te^{2t}
\end{align}

したがって,特殊解の定数係数は以下のようになります。

\begin{align}
A &= \frac{1}{6} \\[0.7em]
B &= 0
\end{align}

よって,求める一般解は

\begin{align}
y &= (C_1 + C_2 \log x)x^2 + \frac{1}{6}x^2 (\log x)^3
\end{align}

このとき,$t$を$x$に戻すのを忘れないようにしましょう。

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