【過去問解答】数検1級公式問題集[第1回2次統計]

zuka

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問題

数学検定1級の公式テキストからの出題になります。数学検定の問題の著作権は日本数学検定協会に帰属していますので,本書にて記載することはできません。「演習問題を俯瞰する」で詳しく紹介している公式の過去問題集をご購入いただきますようお願いしております。

解答

聞き取り調査において総理大臣を支持していると答える人数を$X$とすると,$X$は二項分布$B(n, p)$に従います。このとき,支持率は二項分布のパラメータ$p$に相当します。

正規分布の導出でも説明した通り,$n$が大きい場合は二項分布は正規分布に近似できるのでした。二項分布の期待値が$np$,分散が$np(1-p)$であることを踏まえると,以下の確率変数$Z$は標準正規分布に従うことが分かります。

\begin{align}
Z &= \frac{X – np}{\sqrt{np(1-p)}}
\end{align}

いま,問題文で与えられている条件は標本比率$X/n = \hat{p}$についてです。そこで,$Z$の定義で$X/n$が出現するように少し式変形してみましょう。

\begin{align}
Z &= \frac{\frac{X}{n} – p}{\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}} \\[0.7em]
&= \frac{\hat{p} – p}{\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}}
\end{align}

標準正規分布が両側に伸びる分布であることに注意すると,$Z$の$100\alpha$%信頼区間は以下のように計算できます。

\begin{alignat}{2}
-z\left(\frac{\alpha}{2}\right) &\leq Z &&\leq z\left(\frac{\alpha}{2}\right)
\end{alignat}

\begin{alignat}{2}
-z\left(\frac{\alpha}{2}\right) &\leq \frac{\hat{p} – p}{\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}} &&\leq z\left(\frac{\alpha}{2}\right)
\end{alignat}

\begin{alignat}{2}
\hat{p} – z\left(\frac{\alpha}{2}\right) \cdot \sqrt{\frac{p(1-p)}{n}} &\leq p &&\leq \hat{p} + z\left(\frac{\alpha}{2}\right) \cdot \sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}
\end{alignat}

さて,このままでは母比率$p$が計算式の中に残っています。そこで,標本比率$\hat{p}$が一致推定量であることを踏まえると,$n$が大きいときには母比率$p$を標本比率$\hat{p}$で置き換える(近似する)ことが妥当だと考えられます。実際に,多くの母比率検定ではそのような矜持を行うことが多いです。結局,母比率の$100\alpha$%信頼区間は以下のように求めることができます。

\begin{alignat}{2}
\hat{p} – z\left(\frac{\alpha}{2}\right) \cdot \sqrt{\frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{n}} &\leq p &&\leq \hat{p} + z\left(\frac{\alpha}{2}\right) \cdot \sqrt{\frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{n}}
\end{alignat}

さて,ここまでくればあとは計算するだけです。実際に与えられた条件は$90$%信頼区間ですから,上側$\alpha = 0.05$点の値を代入すると,

\begin{alignat}{2}
0.6 – 1.645\cdot \sqrt{\frac{0.6\cdot 0.4}{100}} &\leq p &&\leq 0.6 + 1.645\cdot \sqrt{\frac{0.6\cdot 0.4}{100}} \\[0.7em]
0.52 &\leq p &&\leq 0.68\quad(\because\;\text{小数第三位で四捨五入})
\end{alignat}

また,$100\alpha$%片側信頼区間幅は

\begin{align}
z\left(\frac{\alpha}{2}\right) \cdot \sqrt{\frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{n}}
\end{align}

に該当しますので,こいつを0.05以内にするための条件式は以下のようになります。

\begin{align}
2.576 \cdot \sqrt{\frac{0.6\cdot 0.4}{n}} &\leq 0.05 \\[0.7em]
n &\geq 637.0\ldots
\end{align}

したがって,十の位の概数で求めると640人以上に聞き取り調査をすればよいことがわかりました。

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