【過去問解答】数検1級公式問題集[第4回2次統計]

zuka

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問題

数学検定1級の公式テキストからの出題になります。数学検定の問題の著作権は日本数学検定協会に帰属していますので,本書にて記載することはできません。公式の過去問題集をご購入いただきますようお願いしております。

解答

まず復習です。検定では以下のような観点がありました。

  • 母集団が従う分布は何か?
    • サンプル数は十分($30$〜$40$以上)に大きいか(→正規分布)
    • 誤差を対象にしているかどうか(→正規分布)
    • 問題文で指定されているか
  • 母分散が既知か?

母平均の検定は,母集団を正規分布と仮定するのが出発点です。ですので,サンプル数が十分に大きいケースか($30$〜$40$以上か),誤差を対象としているケースか,問題文に母集団は正規分布と仮定するという文言が書かれているケースのいずれかであるケースがほとんどです。今回の問題では,サンプル数は$10$と少ないのですが,問題文に母集団は正規分布に従っていると仮定してよいと書かれています。また,製造ラインの「同じものを作り続ける」という性質から,一般的に自然界の誤差は正規分布でモデリングされることを考えると,たとえ問題文に母集団は正規分布に従っていると仮定してよい旨の記述がなくても,母集団を正規分布として仮定する妥当性は十分にあります。

母集団が正規分布に従っていることを仮定できれば,あとは母分散が既知かどうかを判断するだけです。今回は母分散は未知ですので,以下の確率変数は自由度$n-1$の$t$分布に従うことが分かります。逆に言えば,以下のような確率変数が従う分布が自由度$n$の$t$分布と呼ばれています。

\begin{align}
T &= \frac{\hat{\mu} – \mu}{\sqrt{s^2 / n}}
\end{align}

ただし,$\hat{\mu}$は標本平均,$s^2$は不偏分散を表しています。この$t$分布に従う統計量$T$を用いる検定を$t$検定と呼ぶのでした。

ちなみに,母分散が既知の場合は,以下の確率変数が

\begin{align}
Z &= \frac{\hat{\mu} – \mu}{\sqrt{\sigma^2 / n}} \\[0.7em]
&\sim \calN(0 ,1)
\end{align}

標準正規分布に従うことを利用して検定を行います。このような検定を$z$検定と呼ぶのでした。

さて,本題に戻りましょう。今回行うのは$t$検定ですから,統計量$T$を式変形することで信頼度$95$%の信頼区間を求めてみましょう。

\begin{align}
-t_9\left( 0.025 \right) \leq &T \leq t_9\left( 0.025 \right) \\[0.7em]
-t_9\left( 0.025 \right) \leq &\frac{\hat{\mu} – \mu}{\sqrt{s^2 / n}} \leq t_9\left( 0.025 \right) \\[0.7em]
\hat{\mu} – t_9\left( 0.025 \right)\cdot \sqrt{s^2 / n} \leq &\mu \leq \hat{\mu} + t_9\left( 0.025 \right)\cdot \sqrt{s^2 / n}
\end{align}

ただし,$t_9\left( 0.025 \right)$は自由度$9$の$t$分布の上側$0.025$点を表しています。さて,あとは不偏分散$s^2$を計算して代入するだけです。与えられた偏差二乗和を利用すると,不偏分散は以下のようになります。

\begin{align}
s^2 &= \frac{1.186}{10 – 1} \\[0.7em]
\end{align}

先ほどの式に代入します。

\begin{align}
20.2 – 2.262 \cdot \sqrt{1.186 / (9\cdot 10)} \leq \;&\mu \leq 20.2 + 2.262 \cdot \sqrt{1.186 / (9\cdot 10)} \\[0.7em]
20.2 – 2.262 \cdot \frac{\sqrt{0.1186}}{3} \leq \;&\mu \leq 20.2 + 2.262 \cdot \frac{\sqrt{0.1186}}{3} \\[0.7em]
\end{align}

電卓を利用して計算すると,求める信頼区間は以下のようになります。

\begin{align}
19.94 \leq \mu \leq 20.46
\end{align}

続いて,平均が$20$gより重いかどうかの検証です。こちらは,$\mu=20$とする帰無仮説を立てて右側検定を行えばよいです。

  • 帰無仮説$H_0$:$\mu = 20$
  • 対立仮設$H_1$:$\mu > 20$

さて,統計量$T$に$\mu=20$を代入したときに$t_9(0.05)$よりも大きいかどうかを判断します。

\begin{align}
T &= \frac{\hat{\mu} – \mu}{\sqrt{s^2 / n}} \\[0.7em]
&=\frac{20.2 – 20.0}{\sqrt{1.186 / (9\cdot 10)}} \\[0.7em]
&= 1.7422 < 1.833 = t_9\left( 0.5 \right)
\end{align}

帰無仮説は棄却されないため,対立仮説が正しいかどうかは分かりません。ゆえに,実際の母平均$\mu$は$20$gより重いとはいえないことが分かりました。

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