【過去問解答】数検1級公式問題集[第3回2次統計]

zuka

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問題

数学検定1級の公式テキストからの出題になります。数学検定の問題の著作権は日本数学検定協会に帰属していますので,本書にて記載することはできません。公式の過去問題集をご購入いただきますようお願いしております。

解答

フィッシャーのz変換は,以下のような定理です。

フィッシャーのz変換

母集団から$n$個の2次元データを取り出して,その標本相関係数を$r$とすると,$n$が十分大きいとき

\begin{align}
z &= \frac{1}{2} \log \frac{1 + r}{1 – r} \\[0.7em]
&= f(r)
\end{align}

という変換を施すことにより,

\begin{align}
z \sim \calN\left( f(\rho), \frac{1}{n-3} \right)
\end{align}

と正規分布で近似できる。

フィッシャーのz変換の証明は別途行う予定です。ここでは,上記定理が示されているものとして話を進めていきます。

さて,まずは$\rho$の$90$%信頼区間を求めていきます。確率変数$Z$は正規分布$\calN\left(f(\rho), \frac{1}{n-3} \right)$に従うので,以下のように$Z$を標準化したものを$T$とおきます。

\begin{align}
T &= \frac{z – f(\rho)}{\sqrt{\frac{1}{n – 3}}} \\[0.7em]
&= \sqrt{n – 3}\cdot \left( z – f(\rho) \right)
\end{align}

標準正規分布における上側確率$\alpha$点を$g\left(\alpha\right)$,フィッシャーのz変換の関数を$f$と表すと,$z$の$90$%信頼区間は以下のようになります。

\begin{align}
-g\left(\frac{\alpha}{2}\right) \leq T \leq g\left(\frac{\alpha}{2}\right)
\end{align}

\begin{align}
-g\left(\frac{\alpha}{2}\right) \leq \sqrt{n – 3}\cdot \left( z – f(\rho) \right) \leq g\left(\frac{\alpha}{2}\right)
\end{align}

\begin{alignat}{2}
z – g\left(\frac{\alpha}{2}\right)\cdot \sqrt{\frac{1}{n – 3}} &\leq f(\rho) &&\leq z + g\left(\frac{\alpha}{2}\right)\cdot \sqrt{\frac{1}{n – 3}}
\end{alignat}

\begin{alignat}{2}
f(r) – g\left(\frac{\alpha}{2}\right)\cdot \sqrt{\frac{1}{n – 3}} &\leq f(\rho) &&\leq f(r) + g\left(\frac{\alpha}{2}\right)\cdot \sqrt{\frac{1}{n – 3}}
\end{alignat}

問題文で与えられた値を代入します。

\begin{align}
f(0.74) – 1.645\cdot \sqrt{\frac{1}{40}} \leq f(\rho) \leq f(0.74) – 1.645\cdot \sqrt{\frac{1}{40}}
\end{align}

\begin{alignat}{2}
0.950 – \frac{1.645}{2\cdot 3.162} &\leq f(\rho) &&\leq 0.950 + \frac{1.645}{2\cdot 3.162}
\end{alignat}

\begin{alignat}{2}
0.690 &\leq f(\rho) &&\leq 1.210
\end{alignat}

\begin{align}
0.60 \leq \rho \leq 0.84
\end{align}

問題の後半は,確かめたいことが$\rho < 0.85$であることに注意すれば,その条件を対立仮説にもってきた以下のような左側検定を考えます。

  • 帰無仮説$H_0$:$\rho = 0.85$
  • 対立仮説$H_1$:$\rho < 0.85$

この帰無仮説が棄却されれば対立仮説である$\rho < 0.85$が数学的に正しいことになります。$z$を標準化した以下の統計量$T$を利用しましょう。

\begin{align}
T &= \sqrt{n – 3}\cdot \left( z – \frac{1}{2} \log \frac{1 + \rho}{1 – \rho} \right) \\[0.7em]
&= \sqrt{n – 3}\left(f(r) – f(\rho) \right)
\end{align}

実際に値を代入してみます。

\begin{align}
T &= 2\sqrt{10}\left( f(0.74) – f(0.85) \right) \\[0.7em]
&= 2\cdot 3.162\cdot \left( 0.950 – 1.256 \right) \\[0.7em]
&= -1.953 < -1.645 = g\left( 0.05 \right)
\end{align}

したがって,帰無仮説は棄却されるため,対立仮説である$\rho < 0.85$が正しいことを数学的に示すことができました。

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