【過去問解答】統計検定1級2012年問2

zuka

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問題

統計検定1級の過去問からの出題になります。統計検定の問題の著作権は日本統計学会に帰属していますので,本書にて記載することはできません。「演習問題を俯瞰する」で詳しく紹介している公式の過去問題集をご購入いただきますようお願い致します。

解答

カイ二乗分布に従う確率変数に基づく変数変換を行うと,ベータ分布を導出できることを確認する問題です。カイ二乗分布は見た目がいかつい形をしていますが,冷静に見るとガンマ関数は定数でしかないため,本質的にはべき乗関数と指数関数の積に過ぎません。ビビらずに丁寧に計算していけば必ず解くことができる問題です。ちなみに,ベータ分布の最頻値を求める問題は,計算の手軽さも相まって頻出です。

小問1

カイ二乗分布のモーメント母関数の導出は,カイ二乗分布のページをご覧ください。定義に従って計算を行って,変数変換を通してカイ二乗分布の確率密度関数を作り出して「積分したら$1$」を利用するだけです。

小問2

カイ二乗分布の再生性を証明する問題です。こちらもカイ二乗分布のページをご覧ください。 モーメント母関数の積を変形してパラメータの部分が和の形になっていることを確認するだけです。

小問3

実はカイ二乗分布から確率変数の変数変換を行うことでベータ分布を導出できることを確認する問題です。$2$変数が絡む変数変換ですので,変数変換で利用できる定理を利用します。方針としては,まず同時確率密度関数を求めて,片方の変数に関して周辺化することで$W$の確率密度関数を計算しましょう。

まず,$X$と$Y$の同時確率密度関数を求めます。$X$と$Y$は独立ですので,

\begin{align}
f(x, y) &= f(x) \cdot f(y) \\[0.7em]
&= \frac{1}{2^{m/2} \Gamma(m/2)} x^{m/2-1} e^{-x/2} \cdot \frac{1}{2^{n/2} \Gamma(n/2)} y^{n/2-1} e^{-y/2} \\[0.7em]
&= \frac{1}{2^{(m + n)/2} \Gamma(m /2)\Gamma(n /2)} x^{m/2-1} y^{n/2-1} e^{-(x + y)/2}
\end{align}

今回問題で与えられた変換は,

\begin{align}
Z &= X + Y \\[0.7em]
W &= \frac{X}{Z}
\end{align}

となりますので,$(X, Y)=h(Z, W)$を求めると以下のようになります。

\begin{align}
X &= ZW \\[0.7em]
Y &= Z(1 – W)
\end{align}

ヤコビアンは以下のようになります。

\begin{align}
\begin{vmatrix}
\frac{\partial x}{\partial z} & \frac{\partial x}{\partial w} \\
\frac{\partial y}{\partial z} & \frac{\partial y}{\partial w} \\
\end{vmatrix}
&=
\begin{vmatrix}
w & z \\
1 – w & -z \\
\end{vmatrix} \\[0.7em]
&=
z
\end{align}

したがって,$Z$と$W$の同時確率密度関数は以下のようになります。

\begin{align}
f(z, w) &= \frac{1}{2^{(m + n)/2} \Gamma(m /2)\Gamma(n /2)} (zw)^{m/2-1} \left\{ z(1 – w) \right\}^{n/2-1} e^{-z/2} \cdot z \\[0.7em]
&= \frac{1}{2^{(m + n)/2} \Gamma(m /2)\Gamma(n /2)} \cdot w^{m/2-1} (1 – w)^{n/2 – 1} \cdot z^{(m+n)/2-1} e^{-z/2}
\end{align}

こいつを周辺化して$w$に関する確率密度関数を導出しましょう。小問2より$Z$は自由度$n + m$のカイ二乗分布に従いますので,$0 \leq z \leq \infty$であることに注意しましょう。

\begin{align}
f(w) &= \int_0^{\infty} f(z, w) dz \\[0.7em]
&= \frac{1}{2^{(m + n)/2} \Gamma(m /2)\Gamma(n /2)} \cdot w^{m/2-1} (1 – w)^{n/2 – 1} \int_0^{\infty} z^{(m+n)/2-1} e^{-z/2} dz \\[0.7em]
&= \frac{2^{\frac{m+n}{2}} \Gamma\left(\frac{m+n}{2}\right)}{2^{\frac{m+n}{2}} \Gamma\left(\frac{m}{2}\right)\Gamma\left(\frac{n}{2}\right)}w^{\frac{m}{2}-1} (1 – w)^{\frac{n}{2} – 1} \\[0.7em]
&= \frac{\Gamma\left(\frac{m+n}{2}\right)}{\Gamma\left(\frac{m}{2}\right)\Gamma\left(\frac{n}{2}\right)}w^{\frac{m}{2}-1} (1 – w)^{\frac{n}{2} – 1} \\[0.7em]
&= \frac{1}{B\left( n/2, m/2 \right)} w^{\frac{m}{2}-1} (1 – w)^{\frac{n}{2} – 1}
\end{align}

ただし,$B\left( \alpha, \beta \right)$は自由度$\alpha$,$\beta$のベータ関数を表します。

\begin{align}
B(\alpha, \beta) &= \int_0^1 x^{\alpha-1}(1-x)^{\beta-1}dx \\[0.7em]
&= \frac{\Gamma\left(\frac{m+n}{2}\right)}{\Gamma\left(\frac{m}{2}\right)\Gamma\left(\frac{n}{2}\right)}
\end{align}

小問4

最頻値を確認する問題です。単純に導関数が$0$となる$w$を求めれば良いです。対数を取っても最頻値(つまり確率密度関数を最大にする$w$の値)は変わりませんので,対数をとって考えましょう。ベータ関数の逆数部分を定数$C$と置いてしまいましょう。

\begin{align}
\log f(w) &= \left( \frac{m}{2} – 1 \right) \log w + \left( \frac{n}{2} – 1 \right) \log \left( 1 – w \right) + \log C \\[0.7em]
\frac{\partial}{ \partial w} \log f(w)
&\propto \frac{m/2 – 1}{w} – \frac{n/2 – 1}{1 – w} \\[0.7em]
&= 0 \\[0.7em]
\therefore w &= \frac{m – 2}{n + m + 4}
\end{align}

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